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愛のむきだしのcinemakinoriのレビュー・感想・評価

愛のむきだし(2008年製作の映画)
4.3
4時間では足らぬほどのテンポと質量で、とにかく色々と凄い映画。

それぞれのむき出しの愛の絡み合いがとんでもない程にこんがらがってしまうものの、結局は、【愛】とは実にシンプルにむき出され素直に受け止めれば容易に幸福へと辿り着くものと教えられる。

逃避として宗教に救いを求めてみたり、居場所として変態的フェティシズムを追求してみたり、憎悪として異性を拒み同性愛こそが純粋な愛と慰めてみたり、己を偽り認めて貰う為の悪事もまた虚栄と学んでみたり、歪みの最深部で狂気として己を殺めてしまったり、、、
あらゆる人物があらゆる遠回りを繰り返して探し求める【むき出しの愛】は、とてつもなく露骨であり不器用なものだ。
人生の哲学が詰まりまくったこの作品が描く愛は、コリント13章とは真逆のようでいて確実に信仰している。

安藤さくらの狂気に満ち溢れたコイケの演技は、作品の長さを全く感じない程の凄さで圧巻。
満島ひかり演じるヨーコの憎しみに狂い咲く可憐な美貌とパンチラのアンバランスに興奮。
さらにこの強烈な女優2人の“絡み合い”はどうしたって“勃起”する。
“勃起”に従い愛をむき出しにして追い求めるユウ役の西島隆弘の七変化な役作りに脱帽。
痛烈なメッセージに何を思うか、きっと人によりかなり差異がある作品なような気もする。
個人的には名作なんじゃないかと思うほどに良かった。
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