マヒロ

スケアクロウのマヒロのレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
4.0
刑務所から出所したばかりのマックス(ジーン・ハックマン)は、偶然出会ったお調子者の男ライオン(アル・パチーノ)と意気投合し、二人で洗車場を開業することにする。その過程で、マックスは妹に、ライオンは数年前に置き去りにして出て行った妻子の元に立ち寄ることになる……というお話。

頑固もので喧嘩っ早いマックスと心優しくひょうきん者のライオンはお互いに無いものを持っており、助け合ったり衝突したりしながら目的地でありピッツバーグへ向かっていく。道端でたまたま声をかけただけの関係だった二人が、次第にお互いなくてはならない存在になっていく様を描いていて、今でいうブロマンスものに近いかも。

アメリカン・ドリームとも言えないようなささやかな夢を追う二人の姿には等身大の魅力があり、ロードムービーでありながらあちこち脱線して目的地にもまともに辿り着けないという不器用さが もまた良い。
実は繊細で小心者なのにふざけ倒してそれを隠そうとしているライオンに徐々にほだされて歩み寄っていくマックスの描写が良くて、それがある意味帰結するバーでのストリップシーンは笑えると共にどこか泣けてしまう。時代もあるのか、スッキリ綺麗ではない苦味の残る結末を迎えることになるが、それでも絶望のまま終わるのではなく、これからを想像出来るほんの少しの希望が見えるエンディングが好き。最終的に主人公が敗北することの多いニューシネマの流れを汲んでいると思われるが、ただ負けて終わりではなくそこから立ち上がるところを描くと言う点で時代の移り変わりを感じさせられるような作品だった。

(2022.186)
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