イチロヲ

スケアクロウのイチロヲのレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
3.5
刑務所帰りの中年男(ジーン・ハックマン)と元船乗りの青年(アル・パチーノ)が、互いに協力し合いながら人生の再起動を図る。社会不適応者のジタバタ劇を描いている、アメリカン・ニューシネマ。

「世間ズレ後」と「世間ズレ前」のコンビが、気の赴くままに立ち回っていく、ロード・ムービーの形式。ヒッピー・ムーブメント終息期を背景にしているため、日本でいうところの「シラケ」を同時代的に落とし込んでいる。

主人公コンビは、本能と自我が分裂した状態として捉えることが可能。人の世の不条理を通して、両者のシーソーゲームが痛烈に描かれる。また、場面転換がとても早いので、ショートショート集のような作劇を楽しむことができる。

「どんなに些細なことでも良いから、小さな目標を掲げること」の大切さが伝わってくる作品。演者がフライドチキンをとても美味しそうに頰張るため、鑑賞後にKFCへと足が向いてしまう。
イチロヲ

イチロヲ