アニマル泉

無責任時代のアニマル泉のレビュー・感想・評価

無責任時代(1937年製作の映画)
4.2
今日1月16日はキャロル・ロンバートが飛行機事故で亡くなった命日。ロンバートの貴重なテクニカラー作品だ。余命いくばくもないと誤診されたヒロインと新聞記者の騒動を描くウィリアム・A・ウェルマンのロマンチック・コメディーである。プロデューサーはセルズニック。
まあ題名どおり不謹慎な物語である。周りに嘘を突き通せるか?という話だが、この終わり方で作品が成立しているとは思えない。嘘をつき続けるこんなに不埒なヒロインも珍しい。しかしロンバートの美しさ、艶やかさは輝いている。全ては嘘なのに天真爛漫に楽しみ、フレデリック・マーチを天性の魔性でたぶらかす。そしてしなやかな運動神経!マーチとの殴りあい!忘れられない美しい場面だ。ロンバートが得意のベッドへの倒れ込み、泥酔しての卒倒は絶品だ。作品の倫理性をアナーキーに破壊してしまっている。
冒頭、マーチがロンバートを訪ねて、全員から無視されて、子供たちから水をかけられ、幼児に足を噛みつかれるのが可笑しい。田舎の敵意が大らかに描かれる。ウェルマンだから「飛行機」の場面はしっかりある。「乗り物」はウェルマンの主題だが本作は消防車だ。ロンバートの消防士姿が素晴らしい!
大衆の同情、善意の押し売りが皮肉めいて描かれる。児童合唱団の歌、プロレス会場での試合を中断してのゲスト紹介、ショーでの貴賓待遇、大衆の熱狂が不気味だ。
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