rage30

哀しい気分でジョークのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

哀しい気分でジョーク(1985年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

子供が脳腫瘍に冒されている事を知る、父親の話。

主人公である父親を演じるのは、本作が映画初主演となる、ビートたけし。
人気タレントという役柄はビートたけし本人のイメージと重なるものがあって、ほとんどビートたけし本人を見ているかの様でしたね。
ラジオからテレビ、演技から音楽までこなす、マルチタレントぶりは今見ても稀有なものがあって、改めて凄い芸人だったんだなと思わされます。

物語的には、子供をほったらかしていた父親が子供の病気を機に変わろうとする姿が描かれます。
子供があまりにも良い子と言いますか、子供が家事や父親の世話をしている状態は、今だったらネグレクトやヤングケアラーと言われかねないな~と思い、ちょっと時代を感じさせるところ。

そんな大人びた子供を相手に、良き父親になりたくてもなれない、ビートたけしの葛藤が本作の見所と言えるでしょう。
「不真面目を真面目にやるのは出来るけど、真面目を真面目には出来ない」という印象的な台詞が象徴する様に、シャイで不器用な父親の姿はそのままビートたけし自身のイメージとも重なって、グッと来るものがありました。

最終的には良き父親になる事は諦め、男の子同士、良き友達になる事を選ぶ主人公。
彼なりに子供に寄り添おうと考えた末の行動だったと思うし、その想いこそが一番大切で、それは子供にも伝わったんじゃないかな~。
子供の運命は変えられなかったものの、最後までシリアスな泣きの芝居を見せる、ビートたけしの演技には驚かされたし、見応えがありましたね。

80年代の映画という事で、石倉三郎や原田大二郎など、懐かしい面々を見るのも楽しかったですし、特に若き笹野高史を見れたのはレア感があってテンションが上がりました。
逆に若い世代からしたら、全盛期のビートたけしの凄さが、この映画を見れば伝わるんじゃないかな。
何にせよ、ビートたけしの魅力が存分にパッケージングされた作品なので、たけしファンなら是非チェックして欲しい作品だと思います。
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