ロッツォ國友

駅馬車のロッツォ國友のレビュー・感想・評価

駅馬車(1939年製作の映画)
3.8
Dr.アル中、腑抜け酒屋、面食い差別ギャンブラー、極右ブチ切れ銀行マン、イケメン脱獄男といった自由奔放なメンツが詰め込まれた駅馬車の、愉快な珍道中!

ありとあらゆるアクション映画に影響を及ぼしたとされる伝説の一作。
ついに観ることができたぜ。


カーチェイス、もとい馬車チェイスが最高にかっこいい本作だが、そこに至るまでの過程も間延びすることなく楽しい掛け合いで盛り上げつつストーリーを展開している。

何とかハンバーグとかいう一つの目標地点に向かって、どこかに潜んでいる先住民族という共通の敵を恐れながら、性格とか微塵も合わないような人達が一つの駅馬車に乗り合わせる。
様々な人物を一括りの運命共同体として描き経過を物語の中心に据える…という話の成り立ちそのものが、この時代としては革新的だったのだろうし、今や王道中の王道とも言うべきストーリーの進め方ではないか。

とにかく会話が笑える。
大体アル中と銀行マンのせいなんだけど、誰も会話が噛み合わないよね。あのメンツで何時間もあんな狭いとこ居たら気狂うわ。
酒の酔いを醒まそうと水をかけたら隣にも…のくだりとか、そういう演出だったのかただのハプニングなのか分かんないけど笑っちまった。


また終盤の戦闘の方も、ドキッとさせられる始まり部分からのハイスピードバトルが大変アツい。
古い映画だからナメてるし、荒野の追走劇ならMADMAXが思い浮かぶのだが、コレが1939年の作品とは驚きだ。
当時の映画のスタンダードは知れないが、今観ても面白いと言えるほど完成度は高い。
これには驚いた。

また先住民族達の、馬を転ばせ落馬するというスタントも凄い。
レンズにゴミが付いてたりフィルムがやたらキズだらけだったりするのが何とかならないこの時代に、あのスタントはメチャクチャ凄いんじゃないだろうか。


またラストの「いろいろあったけどみんなともだち」感も非常に愛おしい。
オチも綺麗な着地で文句ないですね。


……伝説過ぎて何点つけていいがよく分からないけどまぁ良作の平均点ってことで。
正直、全世界にインスピレーションを撒き散らしまくった時点で、面白い面白くないを超えているんじゃないかな。

いわば大昔からある骨董品のティーセットみたいなもんで、実際にうめぇティーが楽しめるかどうかの土俵に立たせるのはなんか違う気がする。
面白かったけど、俺自身には別に深い思い入れもないので、何とも言い難い…
ただ、今この時代においては、資料として教養としてという意味だけでも、この作品は一見に値するとは思う。


さすがは伝説の骨董品。70年以上も昔の作品なのに見応えがあった。
90分の作品にまとめる編集力も素晴らしい。
やっぱ、謎のヒレがついたワケ分かんないデザインのズボン履いたガンマンは立ってるだけでカッコいいね!!


面白かったですぅ
ロッツォ國友

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