グラビティボルト

駅馬車のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

駅馬車(1939年製作の映画)
5.0
すげぇ。ひたすら面白い冒険活劇!
冒頭から各ステーションでの会話は陰影と視線の演出が巧みでドラマチックだし大見せ場のチェイスからヒロイックな真正面からの撃ち合いまでテンションが途切れない。
99分というタイトな尺でありながらジョン・フォード特有であろう業の深い男のドラマが豊かだ。何より驚いたのは1発の弾丸を残して死んでしまったキャラダイン(多分彼にとって初めてゲームを降りる瞬間だった)と3発残して生き残るウェインとの対比。
彼が諦めてしまうシーンは必見で巻き添えにしようとした(ここも暴力的かつロマンチック)女の意思に反する事を示す画なのに手元しか映らないから男の意思も隠される。スリリングで深い(安い言葉だが)表現が一気呵成のチェイスで描かれる!
駅馬車チェイス以降の「リンゴ・キッドの復讐」も見事なもので宿敵が根城にするバーのムード満点なロングショットが素晴らしい。フォードの映画を観ると如何にロングショットが重要かわかる。
復讐の後も全てを終えて女と抱き合うリンゴ・キッドの顔を撮さないセンスが怖い。フォードの撮る男はどこか不穏だ。
また観る!傑作!