Otun

少年と自転車のOtunのレビュー・感想・評価

少年と自転車(2011年製作の映画)
4.6
W杯も終盤。日々の寝不足生活とも、まもなくお別れ。
また映画生活にシフトしていかないと。と、ダルデンヌ兄弟作『少年と自転車』、初見。

物語。父親に捨てられ、施設で暮らす主人公の少年。彼はその寂しさからか、逃亡を謀るなど、衝動的な行動を繰り返す。全ては自分を捨てた父親と再び暮らすため。彼は今日も施設を逃亡するのだがー

唸るほどの傑作。
主人公の少年の存在のリアリティー。心の隙間。寂しさ。やりきれない、受け入れられない現実。父親に会いたいと願う切実。愛される、ということ。
説明の少ない、長回しの描写の数々にドキュメンタリーの様な印象を受け続ける。

そして、彼が出会う、独身女性サマンサ。
本当に良かった。彼は、彼女に出会えて本当に良かった。生きている希望と言うものはこうゆうことかと思った。

ラストのあの、着信音。絶望の淵での神の福音と言うか。ライ麦畑から落ちてしまったのをキャッチされたような。
良かったね、シリル。
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