やまあつ

少年と自転車のやまあつのレビュー・感想・評価

少年と自転車(2011年製作の映画)
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少年と自転車
ダルデンヌ兄弟作品
第64回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞

血の繋がりがなくても家族になれる。先日、カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞した『万引き家族』と似たようなテーマを扱う映画だと感じた。

本作においては、サマンサという女性が血の繋がりのないシリルを引き取ることで一つの家族を形成することとなる。彼女は母親としての役割を担い、シリルを母性で包み込む。彼に無償の愛を注ぐ姿はまるで聖母のようである。

一方、この映画に出てくる父親は残忍と言うほかない。まず、シリルの実父は当然のごとく育児放棄をしている。子供の話に耳を傾けず、冷たくあしらう様子は無責任極まりない。親としての自覚を欠いた蛮行である。

また、父親的な存在となるウェスも圧倒的な悪として描かれている。コワモテだが、本当は優しい兄貴分なのかと一瞬たりとも思った自分が恥ずかしくなった。

本作は、物語が転換する場面で自転車がうまく利用されている。また、音楽による表現方法も卓越しており、ダルデンヌ兄弟の才能に思わず拍手を送りたくなるほどだ。彼らの他の作品もこれからチェックしていこうと思う。