蛸

その男、凶暴につきの蛸のレビュー・感想・評価

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)
4.1
ベタな(クサイ)お話と異質な演出の組み合わせが、化学反応を起こしているタイプの作品。
主人公の暴力警官ぶりを新人の目線を通して描いていたりと観客に親切な側面もあるが、冒頭のホームレス襲撃シーン(被害者をアップで捉え続けた)から終わりまで、一風変わった演出が豊富でとても楽しい(「ラストカットそれなの!?」とも思った)。
説明的ではない演出と独特の間、繰り返される人物が歩くシーンが映画にある種のリズムを与えているところも面白い。

派手さがない故に生々しい痛みを感じさせる、北野武特有の乾いた暴力描写はこの頃から鮮烈。
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