【絶妙なバランス①/ヒューマニズム】
これまでも多くの日本でいうところのコント的な場面を見てきたが、この「黄金狂時代」から更に大掛かりで、かつ、大笑いも、ハラハラもする場面が一気に増えたような気がする。
きっと、コント55号や、ドリフターズの原点はここにあるんじゃないかと考えた。
コロナ禍で志村けんさんが、そして、交通事故でつい最近、仲本工事さんが亡くなられて、ちょっと大掛かりなコントを日本でもまたできないのかなあと思ったりする。
この「黄金狂時代」は、人間の富に対する飽くなき欲求を笑いに変えているのだけれども、実は、友情や、恩に酬いること、そして、ふとしたきっかけで始まる恋愛感情など、一山当てる的なストーリーの中に、ヒューマニズムが垣間見られる作品だ。
今後、ヒューマニズムはチャップリンの重要なテーマになるが、この「黄金狂時代」は、バランスが絶妙でチャップリンの真骨頂はここにあるような気がする。