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チャップリンの黄金狂時代のnagashingのレビュー・感想・評価

チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)
3.0
いま観ても斬新なアイデアの数々には目をみはるし、クライマックスの山小屋なんて当時は相当なスペクタクルだったんじゃないかとも思うが、金鉱がらみのメインプロットとロマンス要素のサブプロットが完全に剥離しているせいで、雪山のシークエンスと麓のシークエンスにまったく連続性が感じられない。長編としてはかなりブツ切り。アクションほどおもしろくないナレーションもあきらかに説明多寡。全体的に空間が平板で、ギャグに利用しているわりには奥行きが感じられないのだが、唯一の例外が酒場でダンスに興じる客をチャップリンの背中ごしにとらえたショット。後ろ姿にしのばせる彼の孤独感が画的な立体感とともになまなましく生起していくようですごい。とくに異化的な効果をねらっていたとも思えないイマジナリーラインの越境は謎。
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