踊る猫

おくりびとの踊る猫のレビュー・感想・評価

おくりびと(2008年製作の映画)
4.8
落涙してしまった。アラがないわけではない。ムダを削ぎ落として(主人公がチェロを河原で弾く場面を削って)、父親との確執をもう少し丁寧に描いていたらと思わなくもない。だが――私の狭い観測範囲になるが――どうも叫んだり呟いたりと極端に演技をする俳優が目立つ中、この映画では主人公を含めて誰もが丁寧に感情を表現していて臭みがない。そのあたりを評価したい。もっと難を言えば光るショットがあまりないことも考えさせられてしまう。鳥が飛び立つ場面や鶏肉を齧る場面、そして言うまでもなく納棺の過程は素晴らしいが……ただ、そういった「如何にも」光るショットを入れてしまったらこの映画はわざとらしくなってしまうとも言えるわけで、そのあたりがどうにももどかしい。それは個人の好みの問題になるのだろう。丁寧に作られた良作であると私は判断する。特に広末涼子氏の笑顔が殊の外印象に残る。