テーマがテーマだけにある程度予想はしていたけど、ここまで泣かせられるとは。
浅い感想ではあるけど、"日本"というのはいい国なんだなと思える作品。
【納棺師】って職業をこの映画で初めて知った人多いんじゃないかな。
自分もなんだけど、なんで知らなかったんだろ。
そりゃあるよね。こういう職業も。
生き物だし。死ぬし。
でも、日常ではそんな当たり前のことから目を背けがちだし、主人公の奥さんのように〈死人〉を触るというだけで、「汚らわしい」と思うのもまた、当たり前なのかもしれない。
世界には日本の【納棺師】に近い職業も間違いなくあると思う。
だけど、どこか違うはずで、"生死観"が国によって違うのだから当然ではあるけど、じゃあ日本の生死観はどういうものか、例えば海外の人に伝えるのは非常に難しい。
と、そこで、『おくりびと』を観てほしいと言いたい。
海外の方にも。
日本人にも。
言葉で伝えるのは難しいし、本作も劇中でわざわざ「日本というのはこういう国なんです」と明言しているわけではないけど、本作を観れば、日本という国が【死】をどう捉えてきたのか、捉えているのか、ぼんやりと感じられるんじゃないかな。
【見どころの一部抜粋】
◆納棺師の惚れ惚れするほど美しい所作
◆ある人の手のシーン
◆笹野高史演じるおっちゃんが意外な仕事に就いていたと分かった後に、彼が【死】について語るところ
その他、個人的に印象的だったのは山崎努演じる社長と主人公が白子を食べるシーンの会話。
「生き物が生き物食って生きてる。
死ぬ気にならなきゃ食うしかない。食うなら旨いほうがいい」
「うまいだろ?」
「うまいっすね」
「うまいんだよな〜。困ったことに」
「困ったことに」と、似たようなことを母も言っていたなとふと思い出した。
最後に。
広末涼子は本作でも可愛らしく、大らかで献身的な奥さん役を演じていて非常に癒された。
ただ、ややエッチにも見えるシーンが一つだけあるので、子供に見せにくい、というのがちょっとマイナス。
そこを除けば子供に観せたい作品なだけに残念。
映画は大好きだけど、この映画はリメイクできないだろうなー。してほしくもないなー。
特にハリウッドには。