Ryu

おくりびとのRyuのレビュー・感想・評価

おくりびと(2008年製作の映画)
3.8
第81回アカデミー賞にて外国語映画賞を受賞し、第32回日本アカデミー賞では最優秀作品・脚本・監督賞を受賞した。

チェロ奏者の小林大悟は楽団が解散になってしまい、チェロを手放し、田舎の山形に妻 美香とともに帰ってくる。そこでひょんなことから納棺師として働くことになる。

今作が製作された経緯なんですが、本木雅弘が感銘を受けた「納棺夫日記」という本の著者の元に自ら訪れて、映画化の許可を得たそう。しかしながら、著者の青木新門は脚本を見て、自身の構想と色々違うことから映画化を拒否してしまう。その後もモックンは青木の元を訪れて、「やるなら、全くの別作品としてやってほしい」とのことで、原作としての名前も入れずに別物として今作が製作されたそうです。モックン自らがここまで動いたのが普通にスゴいなぁと思いました。
誰もが避けては通れない死。しかしその旅立ちをお手伝いする“納棺師”という職業は世間ではあまり知られてはいない。特に今の時代では病院で処置が行われることの方が多く、余計に身近には感じられなくなっていると思います。
今作で納棺師は、人の遺体に触れることからあまり良い職業としては描かれていません。主人公はたくさんの仕事をこなしていく中で、自身の職業に誇りを持っていきますが、妻や地元の友達はそうは思っていません。しかしながら納棺師としての主人公を見て、この職業が如何に素晴らしい職業かということを理解していきます。
主人公のチェロを弾くシーンをはじめ、音楽もいいなぁと思っていたら、なんと久石譲!そりゃ心に沁みる訳だ。
そこまで大きな展開もなく、淡々とした作風なんですが、そんな中にも日本らしい優しい温かさみたいなものを存分に感じることができる作品でした。
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