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おくりびとのGTのレビュー・感想・評価

おくりびと(2008年製作の映画)
4.8
遺体を棺に納める納棺士という職業をテーマにした映画。アカデミー賞を受賞し、かなり話題になったので知ってる人も多いはず。
人の死をテーマにしているため暗い内容の映画なのかと思いきや、静謐な中にもユーモアが見え隠れする独特の雰囲気の映画に仕上がっている。例えば失職した小林が求人広告で「旅のお手伝い」という求人を見つけ、旅行会社か何かと思って応募。即採用となるも、その仕事内容は遺体の納棺。求人と違うじゃないかと小林が言うと、これは誤植で本当は「安らかな旅のお手伝い」。こんな感じの笑えるシーンも、本木雅弘や山崎努の演技によりなんだか上品な感じになっているから不思議。
勿論「死」というものを考察した真面目なシーンも必見。妻に先立たれた夫(山田辰夫)が遺体を前に呆然とするものの納棺という最後の時になって涙を見せ感情を爆発させるシーン(ここは本当に泣ける)。銭湯のおばちゃんが亡くなりそこの常連だった平田が火葬を担当(この時に火葬場の職員だったことが初めて判明する)、その時の表情。最後の別れを目の前にした人間の生々しい反応が巧みな演技によって表現されている。死というものを間近に見る仕事についている平田や佐々木が言う言葉にもすごく重みがあって心に突き刺さる。「美味いんだよなぁ、困ったことに」(この映画、モノを食べるシーンがすごく印象に残る)
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