教授

宮本武蔵 二刀流開眼の教授のレビュー・感想・評価

宮本武蔵 二刀流開眼(1963年製作の映画)
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シリーズ第3作。
大変面白かった。

これまで描かれてきたキャラクターたちが絶妙に仕上がっている。
冒頭の花の茎の切り目を巡る攻防。
お通さんと悲劇的な再会から失踪する武蔵。
そこに桃太郎みたいなコスプレで若々しい変な芝居をする高倉健。
無口ではなく結構喋る。
が、意外にお茶目で面白い。
そこからサブキャラたちのその後が描かれていく。
相変わらず演技が危うすぎるお通さん役の入江若葉。やんちゃで可愛い城太郎。ダメダメな感じの中に物悲しさを感じさせる木村功。武蔵を付け狙う踏んだり蹴ったりな又八の母。

とにかく群像劇として楽しい上に、それぞれの運命が交錯して作劇的にも盛り上がる。

柳生石舟斎への接近をひとまず断念し、そこから一切劇中に武蔵の登場はなくなる。
狙いを吉岡清十郎に定めて、挑発に次ぐ挑発を繰り返すが姿をまっあく見せない武蔵。まるで暗殺者となりジワジワと追い詰めていく演出が見事。

そして武蔵の影にこれまたジワジワと追い詰められ恐怖に怯える吉岡清十郎の物語。
ラストは壮絶。
一本調子になりがちなストーリーを様々な要素や斬新な演出で多層的に見せている内田吐夢監督の手腕。さすが。
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