さすらいの用心棒

宮本武蔵 二刀流開眼のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

宮本武蔵 二刀流開眼(1963年製作の映画)
3.7
宮本武蔵シリーズ第三作。

とうとう宿敵・佐々木小次郎が登場! しかも演じるは高倉健!
そしてこれが何ともミスマッチ! 
寡黙で真面目な健さんが、白粉を塗ったような優男になって、前髪を垂らし、桃太郎のような白い羽織を着て、ニヒルに口元を歪ませているのを見ていると、なんだかむずがゆくなる。
イメージに合わない役を俳優にぶつけて化学反応を起こそうという内田吐夢監督の試みは非常に好きだし、『宮本武蔵』で枯れた坊主の役をギラギラの三國連太郎に、『たそがれ酒場』で清純派の津島恵子をストリッパーの役に宛がって大成功しているが、健さんは健さんでしかなかったか(笑)

道場の二代目というプレッシャーに耐えきれず女に逃げる悪役が、武蔵との決斗で敗れるも最後の最後に男の意地を見せる場面で盛り上がったところで幕というのがニクイ。
小次郎初登場のシーンで舟の後ろでアニメのカモメが飛んでいたが、あれは何だろうと思ったが、やはり東映アニメーションという強力なバックアップが飛ばしたものだろう。本当に東映を総決算させるシリーズということが伺われる。