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ロッカーズ ROCKERSのKKMXのレビュー・感想・評価

ロッカーズ ROCKERS(2003年製作の映画)
3.9
🎵ハリアッ!ハーリアッ!(ベイベー〜)
 ハリアッ!ハーリアッ!(ベイベー〜)
 月も、踊れよこの恋に
 時を止めてこのモラーウェイ

 レゲエ映画づいていたのでルーツ・ロック・レゲエの名作『ロッカーズ』を観たかったのですが、ちょうどこの前下北沢での上映を観ることができなかったため、代わりに涙見せる夜を駆り立てて陣内孝則(以下ジン)率いるパンクバンド『TH eRockers』を描いたこっちのロッカーズを観ました。再鑑賞。ちなみに監督もジンです。
 正直、出来のいい作品ではないです。クソつまんない寒いギャグとか、やたら叫びまくる登場人物とか、ベタこの上ないストーリーとか、バンド物ガーエーでありながら、ボーカルのジンとギターのタニしか内面が描かれないとか、いくらでも文句は言えますが、個人的にはすごく心に迫るガーエーでした。

 博多にて、ロックバンド『ロッカーズ』を組んでいる輩・ジン(ギター/ボーカル)。しかしバンドはイマイチパッとせず。そのような中で、ジンは商家を継がせようとしてバンド活動に反対するオヤジにギターを燃やされます。そのためジンはボーカルに転向。たるんだバンドに喝を入れるために起爆剤として新しいギターを入れることにします。そして新メンバーに加わったのは、持病のため失明の危機に瀕死ながらも抜群の腕を持つギタリスト・タニであった。そしてロッカーズは、アマチュアバンドコンテストに出場することを決めます。持ち時間は5分ですが、「ロッカーズはスピードで勝負」と決めて、5分の中で4曲ブチ込むスタイルで行くことを決める……というストーリーです。


 まぁ、バンドがコンテストに出てライブをやるという話で、それにタニの目の病気が絡んだり、ライバルバンドが少し登場したりする感じで、青春モノの中でもよりシンプルな内容です。

 とはいえ!本作はとにかくライブシーンに尽きます!最高にカッコいい!序盤からルースターズの『どうしようもない恋の唄』とか『メリー・ジェーン』のパンクバージョン(メロコアか!)とか、演奏シーンはかなりイカしてましたが、コンテストの5分で4曲をブッかまして突っ走るシーンは最高オブ最高!この4曲、マジでいい!

 この4曲の爆走シーン、ホントに初期衝動なんですよ!それが見事に込められている。バンドをやる喜びと高揚感がめっちゃ伝わる。初めて組んだ高校時代の学祭バンドをめちゃくちゃ思い出します。このシーンは俺にとってホント特別です。語りきれないね!

 俺は高校時代にラモーンズを聴いてパンクに目覚めたので、速くてポップな曲大好きなんですよ。ロッカーズはまさにラモーンズ直系(ジョニサンも少し入ってる)の爆走パンク!5分で4曲とかマジでラモーンズですから。このラモーンズイズムを素晴らしい演奏と青春期のバンドだけが持つ特別なエネルギーを見事にパッケージ化しつつ商業映画っぽいポップさを混えた演出に、俺はとにかく胸熱でしたね!
 というか、本作だいぶ前に観てましたが、このシーンだけは完璧に覚えてました。タニのギターからジンがジャンプでインしてくる1曲目のショック・ゲームから3曲目のジャッキーでジンが空中を移動するボックスみたいなやつ(名称不明)に乗ったり、4曲目の可愛いアノ娘でスプリンクラーが誤作動して観客が傘さしてノリノリで動かすとか、全部記憶にあった。この5分はホントにシビれる。個人的に伝記モノ音楽映画のライブシーンにおいて、おそらく最高だと思います(ドキュメンタリーならばそりゃ物凄いのたくさんありますけど、アレサのアメイジンググレイスとか、ロックンロールサーカスの悪魔を憐れむ歌とか)。

 100分強のガーエーで、見どころはわずか5分ってのもアレですが、その5分こそ本作の魂でした。ジンは若くして事故で亡くなったタニに捧げるために本作を撮ったらしいですが、この5分で完璧なトリビュートになっておりました。マジでマジでマジで最高です!ロッカーズ最高!涙のモーターウェイ!

 で、これだけ熱く語ってるけど、⭐️はそんなでもないっすね。演奏シーンを除けば個人的クソ映画の基準『パラダイス・ロスト』(⭐️2.0)より少しマシなので、本来ならば⭐️2.1〜2.2程度ですが、5分4曲の演奏シーンは⭐️5.0なので、マケてこれくらい。映画として見ると4以上はつけられないっす。

 演者について。ジンを演じた中村俊介はモロに陣内孝則で、素晴らしいなりきり振りでした。歌はジンより上手いね!ちゃんとジンの少し甘ったるい感じは再現できてました。
 タニを演じたのは玉木宏。存在感があり、この2人だったからこそ本作がうまくいったと思います。実際の演奏はロックンロール・ジプシーズが担当しているはずですが、玉木宏はギターの練習して臨んだそうです。
 ザ・芸能人である陣内孝則のガーエーなので、芸能人がたくさんチョイ役で出てきます。とはいえ、陣内孝則本人が10秒くらい出てくるんですが、超絶ウザくて一番印象に残りました。この人基本的に面白いですね。ロッカーズ解散ライブの時に客に向かって「お前ら!俺より目立つな!」とMCしたとか。どう考えてもお前より目立てないわ🤣



【🎸本作YouTubeで全部観れます🥁】

https://youtu.be/rBhFBZCJWrA
1:21:55〜から伝説のライブ!
①ショック・ゲーム
②恋をしようよ(ルースターズ)
③ジャッキー
④可愛いアノ娘

 何故ルースターズの曲なのかずっとナゾでしたが、本編で演奏を担当しているのがルースターズの後続バンド、ロックンロール・ジプシーズだったからのようです。まぁハマっているからイイですが。他の3曲は全てロッカーズのオリジナルです。

https://youtu.be/-BXPjXZ5WFc
涙のモーターウェイ / TH eRockers

 本編のエンディングナンバー。個人的に一番好きな曲で、ロッカーズ解散時にこの曲2回演奏したというエピソードも耳にしたことあります(アンコールが鳴り止まず、ネタがなくて再演奏)。
 メロウな曲で、歌詞がなんとなく胸に迫るんですよ。少し物悲しい感じで。なんというか、俺が育ったK県県央地区は車社会で、この曲を聴くと夜の国道を車で突っ走った地元の記憶が蘇るのです。センチメンタルでノスタルジック。ディスカウントストアのバックヤードで一緒に働いていた連中を思い出したりします。ヤツらは元気にしているだろうか?涙見せる夜を駆り立てて深夜の街はモーターウェイ!
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