福福吉吉

ヒア アフターの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ヒア アフター(2010年製作の映画)
3.0
フランスのジャーナリストのマリー(セシル・ドゥ・フランス)は東南アジアで津波に遭遇し、臨死体験をする。マリーはそれ以来、死後の世界に執着するようになった。一方、イギリスの双子の少年マーカス(フランキー・マクラレン)は交通事故で双子の兄ジェイソンを失い、母の薬物中毒もあって里子に出されてしまう。そして、アメリカのジョージ(マット・デイモン)は霊能力を持つが、その能力を使うことを嫌悪していた。
離れた場所にいた3人の人生がある日、交錯する。

ストーリーのテンポとして、最初のマリーとマーカスの話で衝撃的な展開があるのですが、その後は緩くて暗い展開が続くため、時間が長く感じました。

マリーはテレビのキャスターとしても活躍していましたが、津波に遭遇後、臨死体験で見た光景が頭から離れなくなり、テレビから外されてしまいます。私にはあまりマリーに共感は覚えませんでした。そこまで気になるかなという感じでした。

双子の弟マーカスは母が薬物中毒だが、兄ジェイソンとともに母と一緒に暮らすため、福祉局の保護を避けている状態であり、最初からかなり苦しい生活状況の中で兄のジェイソンのみが頼りだったことが描かれています。しかし、ジェイソンの死によって全てが崩壊し、母と離れ里親と暮らすことになってしまったマーカスの心境の苦しさは計り知れないものだと思います。マーカスは亡くなった兄と話すため、霊能力者を探す流れになるのと自然だったように思います。私はマーカスの行動に心惹かれるものがありました。

霊能力者のジョージは、霊能力を呪いだと思い、忌み嫌っていますが、兄のビリーはその能力を利用すべきと考えて対立しています。作品中、ジョージは女性と知り合って好意を持ちますが、女性から求められて霊能力を使ったところ、彼女と疎遠になってしまいます。本物の能力だからこそ知るべきでないことまで知りえてしまい、女性のみならず他者と上手くいかないことがあったのかもしれません。

マリー、マーカス、ジョージはあるきっかけで出会うのですが、正直、あまりマリーの必要性が感じられず、舞台装置になってしまっていたのが残念でした。マリーの直面した事実を解決するような出会いや出来事が欲しかった気がします。

マーカスとジョージのやりとりはとても良かったので、それに上手くマリーを絡めていれば、もっと良くなった気がします。

鑑賞日:2022年12月23日
鑑賞方法:BS/CS WOWOWプラス
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