slow

ツィゴイネルワイゼンのslowのレビュー・感想・評価

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)
4.3
サラ・サーテの奏でるツィゴイネルワイゼンに導かれる精神的カニバリズムの悪夢。始まりは赤橙の幻惑だったかどうか、気が付けばそこは蒟蒻畑。意味を求めず、聞き耳を立て、記号を記号のまま感じることで、摩訶不思議な怪談話は生と死の狭間で笑い始める。

傍若無人な世界は全然観客を迎えに来てはくれない。必死に物語を追った初回鑑賞はわけわからず終了。これは理屈で観るものではないんだと開き直り再度鑑賞した自分の根気に拍手。何その暗転、何その台詞、何その性癖、何そのコント。何?を放棄した途端に傑作として全てが新鮮に映り変わる。忘れていたATG作品のクセの強さ。どの役者もらしさ全開で見応えあったのだけれど、やはり大谷直子が素晴らしい。あの斜に構える感じとか震えるよ。時空を捻じ曲げたような世界構造。人はそれを幾度となく往来するうちに、何者でもなくなってしまうのかもしれない。