ちいちゃん

ツィゴイネルワイゼンのちいちゃんのレビュー・感想・評価

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)
4.0
今、わたしは生きてるような気がするけど、本当は死んでるのかもしれなくて、3年前くらいに亡くなったおばあちゃんの方が、元気に勇敢に生きてるのかもしれなくて…

夢なのか現実なのか、あるいは幻なのか…

腐りかけの水蜜桃、ちぎりこんにゃく、すき焼きをみんなで囲む場面など食べるシーンがとても印象的。契りこんにゃくからのくちゃくちゃとする音から感じる園(大谷直子)の嫉妬や疑念、不安が伝わる感じ。原田芳雄の「腐りかけが1番うまいのさ」というセリフから、大楠道代が腐って中身が蜜になってしまった桃を皮の裏の苦い部分まで食べるところ。エロすぎたあ。

あと、大楠道代が原田芳雄の目ん玉を舐めるシーンも妖艶。


あとね、言いたいことがある。大谷直子はどんだけ、こんにゃくちぎるん?って感じだし、しかもこんにゃくめっちゃ雑に扱うし、こんにゃくのこと舐めとるやろ!!

大楠道代は大体いつも何か食べてるし、真喜志きさ子(妙子)は観葉植物に囲まれた病室で、植物みたいに生かされているというか、なんか究極。

君、何か言ったかね?
いや。
変だな。
君には聞こえなかったかね。どっかで人の声がしたんだけど。
サラサーテが喋ってるんだよ。

全てを映像で語るというか、そん風な映画だった。鈴木清順ヤバ。自分の「好き」にはなかなかなりづらい感あるけど、ものすごい物を見てしまったあ、ヤバいものを見てしまったあって思う。でもそれだけじゃ、安っぽくなるけど、ツィゴイネルワイゼンはどこまでも深くて底がないみたい。もう、一度落ちたら出れないみたいだね〜〜出れないっていうか、その空間で高めるというか…
ちいちゃん

ちいちゃん