ししまる

愛は霧のかなたにのししまるのレビュー・感想・評価

愛は霧のかなたに(1988年製作の映画)
2.9
◼️概要
1988年の伝記。18年にわたりルワンダでゴリラの生態調査をした米動物学者ダイアン・フォッシーの半生を描く。絶滅の危機に直面するマウンテンゴリラを救おうと、ダイアンはルワンダへ。現地人ガイドを雇って山奥へ入り、実態調査に没頭し研究センターを開設するが、密猟者と対峙するうち、次第にゴリラ保護に執着してゆく。
◼️キャスト
ダイアン:シガニー・ウィーバー
◼️感想
なんとも胸くそな話で、密猟者も、ゴリラを欲しがる金持ちも、何しに来たのか分からない若い研究者もまじムカつくわ。立場を変え、現地アフリカの慣習や動物園の存在を考えれば、反対にフォッシーこそが狂信的で偽善という見方もあろうが、本作を見る限りにおいては、霊長類研究に多大な影響を与え、ゴリラ保護に全てを費やしたフォッシーを断然支持したい。
一方、実話だから実際に何があったのか気になってしまい、映画としての評価どころじゃなくなる。それにしても邦題はセンスがない。非業の死、真相は霧のかなたに。
◼️メモ
原題は「Gorillas in the Mist」。フォッシーが1983年に出版した同名書籍がベース。第61回アカデミー賞(1989年)脚色賞など5部門ノミネート。ウィーバーは本作で主演女優賞、「ワーキング・ガール」で助演女優賞にダブルノミネート。
ロケ地はルワンダとケニアで、ウィーバーは本物のマウンテンゴリラの群れで撮影した。本物に似せた着ぐるみも多用されている。本作にデジットとして出演し、世界で最も有名なマウンテンゴリラであるタイタスは2009年、ルワンダの山中で35歳で死んだ。
フォッシーが殺害されたのは著書出版後の1985年12月。動機がある人物は大勢いたが、今なお未解決。
マウンテンゴリラはウガンダのブウィンディ国立公園と、ウガンダ、コンゴ民主共和国、ルワンダ国境にあるヴィルンガ火山群のみに生息。体高は1.2〜1.8メートル、体重は80〜230キロ、寿命は40年ほど。
生息数減少は森林伐採や焼き畑などによる生息地の減少、内戦、伝染病、ブッシュミートと呼ばれる人間の食糧確保などを目的とする密猟が原因。頭は壁飾りとして最高1200㌦、手は灰皿として600㌦で闇取引されていたという文献もある。
2008年の生息数は推計約690頭だったが、密猟対策や獣医師の活動などにより、18年の推計では1千頭超に回復。しかし個体数が増えたことで生息空間が足りず、マウンテンゴリラ同士の争いも目立つという。
フォッシーの研究センター設立50周年を記念し、2017年に9月24日は世界ゴリラの日と制定された。
マウンテンゴリラを動物園で見ることはできず、日本の動物園にいるのはニシローランドゴリラのみ。
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