EmiDebu

震える舌のEmiDebuのレビュー・感想・評価

震える舌(1980年製作の映画)
3.5
ダメダメ!これはダメだぁ笑
なにも、作品を否定しようって訳じゃない。面白くないわけじゃないし確実に観る価値のある映画だ。ただ、これを今後観ようとする人に先駆けて忠告はしておく。トラウマになる可能性大いにあり!
人によって向き不向きはあるものなのかも知れない、それに今の自分の精神状態が良くなかったのかも知れない、ただ自分はトラウマになるタイプでした。
世界中で公開拒否をされる映画がたまにそれを自慢するかのように謳い文句にするけど、この映画が世界に供給されてたらバンバン拒否されてただろうね。しかもそれを狙ってる訳でもないのに。マジでムカデ人間の何百倍もショッキングだと思うよ。

つまらないとかそういうことじゃなくてあまりにもインパクトが強すぎた。何かこううまく例えるとしたら114分間、黒板を爪で引っ掻かれているような。はたまた、114分間ずっと口に砂が入っているような。そんな不快感の中、時より前触れもなく激痛が訪れる、そんな感じです。

今まで「つまらない」って理由以外で途中で断念しようと思ったことがなかった。なんとか最後まで観たが何度「あぁ、もうこんなものを観るのは辞めにしてしまおう」と思ったことか。ホラー、あるいはスプラッタ、そういった類のものを予想してたのかも知れない。一般的なホラーって大体そんなもんだし。しかし、テーマになる破傷風はもっと恐ろしいものだった。

怖いのは破傷風という感染症の症状だけじゃない。あ、でもこの映画でのその描写マジで死ぬほど怖いんで要注意。しかし、それだけがこの映画の本質ではなく、自身も感染しているのではと疑心暗鬼になる心理描写、娘に寄り添うことで徐々にノイローゼ気味になっていく両親。その全てが救いようのないもので、だからこそ「早く終わってくれ」と思った。「あぁ、これはもう無理かも知れない」と思って残り時間を観てみたら57分。絶望です。子供、親、医者、親族、どの立場からしても地獄。
また、昔の映画特有の音割れがこの映画をより不快にさせるんだなこれが。

トラウマ級なのは間違いないが、親になる夫婦は観た方が良いのかもしれない。それは破傷風の怖さを知る目的もあるし、ここまで生活を子供に捧げられるかと問いかける側面もあると思う。必ずしもこれが正解だって訳じゃないんだけどね。「覚悟はあるか?」と問いかけるいい材料になりそうだ。例えるなら昔のACのCM。あれも色々気味悪かったよねぇ〜。

もう一生観ないかも知れないなんて生易しいもんじゃない。絶対に観ない。

ただ、正直こんな地獄を味わいたいとは思わないけど、こんな父がいることには少しだけ憧れたかな。
EmiDebu

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