イチロヲ

震える舌のイチロヲのレビュー・感想・評価

震える舌(1980年製作の映画)
3.5
破傷風菌に侵された幼い娘をもつ夫婦が、地獄絵図のような闘病生活を綴っていく。三木卓の同名小説を映像化している、サスペンス映画。原作者が破傷風の娘の治療経験をもっている。

感染経路から院内での検査、治療方法、延命措置に至るまで、現実に則した描き方になっているが、当時のオカルト人気に肖り、闘病生活を「悪魔憑き」のように描写している。そのため、オカルティックな雰囲気に満ち溢れている。

いわゆる「トンデモ映画」に属される作品だが、同じトンデモ映画でも、これは「笑えないトンデモ映画」。自分や自分の近親者にも起こりうることが、すべて露悪的に表現されており、極めて意地悪な映画とも捉えられる。

子役の体当たり演技も凄まじいため、不安と鬱屈の限界地点まで連れて行かれる。サブカル好きが面白半分で手を出すと、痛い目に遭うだろう。
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