ラッセルクロウ。
この人に中世とか伝承とか、言い伝えから生まれる“弱気を助け、強気を挫く”的な無骨で屈強なヒロイズムを演じさせたらなかなか右に出る者はいないのではないか。
最近では『ソー ラブ&サンダー』で、やや堕落した“あの神”を演じているが、それにしたって風格が尋常ではなかった。
今回も、それ。“ロビンフッド”。
実在したのかは不確かで、いくつかの当時の逸話が集まって1人のキャラクターになったのではないか、という説もあったりするらしい。
確かに“ロビンフッド”ってなかなか歴史では勉強しない。だけど、世界中で知られている有名人。
日本で言うところの“石川五右衛門”とか“ねずみ小僧”とかそういうのに近いんだろうか。
この作品でも、見た目はガッツリ真面目な兵士だが、程よいとこまで稼いで後はよしなにズラかろうみたいな先進の持ち主。
しかし、とある道すがらで瀕死の兵士から剣を預かり、乗りかかった船だから的に、その剣を兵士の故郷の返しに行く。
行きずりの展開で彼にとっても想定外の展開。
なんやかんやと話がもつれ始め、政治や小競り合いが勃発して争いに巻き込まれていく。
巻き込まれていくと言うか、いつの間にか彼が権力からの解放、自由への“象徴”のようになっていく。
十字軍に始まり、世襲制の専制政治による搾取に兵も民も疲弊。
しかし、領土や地位を維持する為の先立つ物が望まれ、安息どころか更なる増税や制圧が為されようとしている。
そこへ反旗を翻し、民と共に立ち上がる者がいた。別に最初からそうしたかったわけではないが、いつの間にかそれが彼にとっての役割、使命、運命となっていく、、、。
ラッセルクロウ、ケイトブランシェット、マークストロング。
骨太な壮大な歴史スペクタクル向けの役者が揃いも揃って。
“ロビンフッド”って、『フッドザビギニング』でタロンエガートンも演じてたけど、もっとフットワーク軽くて俊敏ですばしっこい“射手”のイメージ。
こっちは完全に“兵士”。屈強な兵士。でもいちおう“射手”で弓もうまい。
これはこれでこう言うもんとして観れば、圧倒的な世界観を楽しめる。スケール感と荘厳な雰囲気、さすがラッセルクロウ。
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