日向日向

ドラえもん のび太の宇宙開拓史の日向日向のレビュー・感想・評価

3.5
春だよ! ドラえもんの季節。

WOWOWで一挙放送を始まったわけで。
しずかちゃんの、みんなの呼び方がまださん付けではなく君付けだった頃の時代。
劇場2作品でありながら、今の時代に継承されている要素が既に確立されており、大人になってもなかなかに手に汗握らされ、そして笑わされる作品である。

映画公開の前年度に藤子不二雄氏の短編作品「ベソとこたつと宇宙船」から強く影響を受けている。
それは単にストーリーラインというだけに留まらず、のび太という人格の描写にも徹底されている。
ストーリーはベースの物語と同様に、ひょんなことから宇宙船と畳裏(元作品ではコタツ)が接続し、新天地コーヤコーヤ星に立つことになったのび太は重力の差異からスーパーマンになり、悪事を働く大手企業と対峙する。
しかし、それとは対照的に、元の世界ではジャイアンに虐められてしまう。その結果、次第に彼は違う世界に傾倒してしまう。
その姿は内向的な性格のベソと似通っており、そこからの再起への経過も非常に酷似している。
それでありながらも、短編特有の描写の稚拙さをきちんと補い、尚且つドラえもんという作品の持つ固有性にきちんと当てはめられていた。

元作品はあくまで個人の戦いであるが、今作品では終盤、仲違いを一度こそはするが最終的には駆けつけてくれた仲間たちと一丸になって巨悪を滅ぼす。
その仲間を何よりも重んじる構成こそがドラえもんの持つ大きな特徴てあって、魅力であるということがよくわかる作品だった。

また、初出ではないものの、シリーズを通して出演することが多いパオパオのドラえもん内初登場と言える作品でもあり、それだけでも見る価値があるほどパオパオは可愛いのだ。
こう見ると、改めてリメイク版も観たいものだと切に感じた。
やや終盤は駆け足であったか、それを抜きにしても楽しめると映画だった。
日向日向

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