ハレルヤ

がんばれ、リアムのハレルヤのレビュー・感想・評価

がんばれ、リアム(2000年製作の映画)
3.7
1930年代の大恐慌時代のイギリス、リヴァプールが舞台。父親の失業から端を発し、家族がバラバラになりそうな危機。末っ子の7歳のリアムの目線を中心に、日々を懸命に生きる家族の姿を描いた物語。

邦題だけ見たらアットホームな温かい家族ドラマかと思っていましたが、想像以上に重たい作品でした。邦題考えた人ちょっとセンスない気がする。

吃音症を抱えながらも初めての教会での懺悔に臨むリアム。まだ幼くとも懸命な彼の姿は確かに頑張れ!と思うけど、本作の主題はまた別のところ。

父親の突然の失業で窮地に追い込まれる家族。兄も姉も働きに出て、特に姉のテレサは裕福なユダヤ人夫婦の家のメイドとして働き、そこで色々と自分の環境とのギャップを感じることになる。貧困層と富裕層の違い。ここが1つのポイントですね。

父親もプライドが許さず教会からの支援も断り、日雇い労働で間を持たそうも、それも低賃金でも勤しんで働くアイルランド人の労働者に仕事を取られる日々。その焦りと憎しみはアイルランド人と裕福なユダヤ人へと向けられる事に。

この父親の過激な思想が後に最悪の事態へと繋がっていきます。父親さえここまで酷くなければ…と思わざるを得ない展開でしたね。家族ファーストではなく自分勝手が前に出てしまった結果。深く考えさせられます。

そのラストはまさかの事態でかなりの衝撃。やるせない気持ちで胸がメチャクチャ痛みました。ハッピーエンドで終わらせず、現実的で非情な終わり方はイギリスの社会派映画らしさがあると感じます。

思っていた以上に重いトーンの作品でしたが、時代背景や当時のイギリスが抱える社会問題、家族の在り方についてリアムたちの姿を通じて考えさせてくれます。

最後に余談ですが、昨日鑑賞後に本作のレビューを書いていたら途中で間違えて投稿してしまい、15分くらい後で気付いて一度削除しました。その間にいいね!をくださった皆さん、削除する形になり本当に申し訳ございません!
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