このレビューはネタバレを含みます
李安監督3作目。
『飲食男女』でもそうだったけれど、主演を演じる郎雄が良すぎる。台湾版ロバート・デニーロ。現実での姿を知らないにも関わらず、人物像とキャラクター像がマッチしていると確信できる。映画内のイメージでしか思い浮かべられない。これこそ名俳優じゃないか。
テコでも動かないおじいちゃんのシーンが好きすぎる。コックが8人くらいで動かそうとするのだけで面白いのに、街のワルでも無駄で、果ては警察まで出動。隙を生じぬ3段構えで流石に爆笑してしまった。
まだ日が浅いながら外国に住んでいる身なので、文化の違いとコミュニケーションの難しさに悩む場面はとても共感。自国で過ごした時間の長い老人なら尚更だろう。でも彼は、太極拳という唯一無二のアビリティを最大限に生かして、様々なコミュニケーションをおこなう。それが悪い方に働いちゃうこともあって、とても人間らしくて可愛い。
息子がストレスで爆発してモノにあたるシーンには辟易したけれど、それをきっかけに嫁とおじいちゃんが、無言の片付けを通してコミュニケーションを取るシーンを見て、起こるべくして起こったことだと理解。家族はお互いに支え合って生きていける。