ホイットモア大統領

アキラ AKIRAのホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
4.5
2020/6/21 4Kリマスター版IMAX上映にて鑑賞。

高校生の時に見て衝撃を受け、当時は3日ぐらい、名前を呼ばれる度に「さんをつけろよ デコ助野郎!」て言ってた気がする。デコ助な人いなかったけど。

でも、そういう青春真っ盛りな時に見た作品て、大人になって見ると「あれ?」て思うことが多々あるので、期待半分、心配半分で鑑賞…

結果、傑作をスクリーンで観たら、大傑作でした!!!

以下は久々に観て思ったこと。

本作が面白く、かつ難解だと感じるのは、超能力の定義・正体が曖昧な点にある気がする!

「もし何かの間違いで順番が狂って、そんなアメーバみたいなものが、人間みたいな力を持つことになったら…」

能力について触れるのは、ヒロインのケイが金田に説明するこのシーンのみ。
これを噛み砕くと、その力は進化するためのエネルギーで、それは生命誕生以前から脈々と受け継がれる宇宙の記憶、ということらしい。

ノーランもびっくりの解釈だけど、この設定、“人知を超えた力” (の一端)だからこそ人々は魅了され、未だ色褪せることのない作品になっているのだと思うわけで。

そして、その力は死を伴い、(誕)生を以って発現する。

鉄雄の覚醒の発端となった事故=死と捉えられるし、アキラの登場は=生。
ラスト、数百、数千万の死者を出したであろうネオ東京の崩壊後に発せられる、希望とも終焉とも取れるマサルの印象的な台詞は、そんな輪廻構造の提示なんじゃないかな。

つまり、宇宙の記憶=輪廻であり、当時としては近未来のサイバーパンクSF作品でありながら、至極日本人的・仏教的な感性に基づいているなと感じました。

ただ、そんな難しいことを抜きにしても、やっぱり金田の兄貴がカッコ良過ぎるんよ…
やめられない止まらない鉄雄に挑む姿には、神=スーパーマンに挑む人類代表=バットマン的漢気を感じるし、あんなにレーザー銃が似合う人なんて『イレイザー』のシュワぐらいだぞ?

IMAX効果も絶大で、大画面に映るネオ東京のなんと緻密なこと…
ビル群に描かれている窓一つ一つからして細かさが尋常じゃないし、信じられるかこれ?手描きなんだぜ…

特にサイバーパンクの世界に響く、リミックスされた芸能山城組のケチャ音楽が本当に凄かった…
ライヴかのような迫力に加え、相反する組み合わせのように見せて、精神世界をも内包した世界観にピッタリなこの選曲が、本作を唯一無二たらしめている気がしました!

そもそも、劇中でも新たな宇宙の誕生だと表現されるシーンがあるけど、124分の間にビックバンまで描いてしまう本作は単なるアニメの域を超えてやがるぜ…!

P.S.
登場人物の名前が『鉄人28号』のオマージュだって今知りました笑

てことで、本作の主人公名は『鉄人28号』の主人公、金田正太郎(同姓同名)からきてるらしいんだけど、少年愛を意味する「ショタコン」も彼からきてるんだとか…


P.S.のP.S.
金田の声優である岩田光央さんは、1995年版『モータル・コンバット』の主人公、リュウ・カンです。



モータルコンバァーッ!!!