次男

アキラ AKIRAの次男のレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
4.2
いったいいつぶりに観たのか定かでないけど、終始、始めて観たかのように驚き続ける。世界観やガジェットのデザインの先進性と、僕の世代にとってある種ノスタルジックな作画や台詞回しの時代性が相まって、ケイオスな脳内、そこにぶち込まれ続ける科学と哲学の乱打。困惑して「…な、なんかかっこいい映画!」で当時の自分が片付けたのも無理ないし、現在の僕もそれで片付けたいや。語るのは荷が重すぎる。

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この映画のあれこれを掬えている自信なんて欠片もないけど、人間として漠然と抱えてる恐怖みたいなものにはリンクする部分もあって。

点で見ると日常だけど、線で見るとすごい速さで進んでるこの世界が怖くなるときってないすか?10年前とかを思い出すと別の時代みたいな感じがするし、10年先の未来予測なんて山ほどありすぎて「どうなっちゃうの」って怖くなる。AIが統治とか、老人ばっかになってるとか、陸地が沈んでるとか、どうなっちゃうの未来、速くねえすか?って。

昨日ドラえもん観てたときに、「6万年前に行こう!」ってのび太が言ったんすね、そしたらドラえもんが「念のために7万年前にしよう」って言い出して、「え?念のために1万年も前に戻るの?」って思いながら、「そうだよなー、その時代の1万年って、そんくらいの誤差かもなー」って納得して。いまだったら、50年違ったら別世界じゃんすか。歴史とか勉強してるときにも同じこと思って、「えー200年かけてようやくその進化なのね」みたいな。

時代が変化していくスピード、どんどん上がってるような感じがして、そのスピードにぞっとするような。

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そんなスピードの速さの権化みたいなのが、アキラとか、子供老人のみんなで、ケイちゃんを通して説明してたみたいに、ぐいっと三足飛びみたいな未来の存在、なのかな。

どんどん速くなった末にいったんグシャってなったのかこの2019年のネオ東京だとして、みんな、アキラ求めて「もうめんどいから一回更地にして」って望んでるわけで。

全部が終わって、ディストピアだったネオ東京がさらにぼろぼろになって、それでも光が差し込んでくる。『もののけ姫』のラストみたいに、芽吹き再生を見つめるあのラストみたいな。ラストを観ていたら、僕は漠然と、ゆっくりと進んでいけばいいのにって思った。車は空飛ばなくていいし、ユビキタスなんて実現しなくていいし。でもそんな風に思っても僕は新しいiPhoneを買うだろうし、最新家電に胸を踊らせるんだろうなーって思う。

この話は、リセットとリライトの話なのかもしれない。加速度的に速くなっていく時代の変遷、に対する警鐘なのかもしれない。知らんけど。

そんなふうに思えたのは、これだけ超人まみれの物語の中で、ふつうの男の子・金田を主人公にしてくれたからかなあって思った。

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…なんてかっこつけた感想はやっぱナシで、なんかかっこいい映画でした!
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