にぺけ

アキラ AKIRAのにぺけのレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
4.2
"健康優良不良少年"

舞台は2019年、東京湾上に建設された新首都「ネオ東京」(東京計画1960の影響があるか)と新型核爆弾により崩壊した「旧市街」を中心に展開する。

正直に言うと、ストーリーは完全には理解できていない。等身大の人間の平凡なチカラと超能力を持つ者の超越的なチカラ。破壊と創造。…さまざまな解釈が可能である。

それはさておき、『AKIRA』の醍醐味はなんといってもスタイリッシュなデザインと狂気的とも言える作画だろう。冒頭のネオ東京の摩天楼を背景に疾走するバイクのシーン。フライングメカ。鉄雄の覚醒や暴走のシーン。全編を通したリップシンク。どこを切り取っても隅々まで重力を感じるアニメーションがそこにはあり、構図や演出がいちいちカッコよい。
映画は漫画とは違う展開であるため、クラウンやミヤコ様の扱いが少し物足りなくも感じるが、映画は映画と割り切るべき。

また、「さんをつけろよデコ助野郎」などの耳に残るセリフや、芸能山城組の音楽の完成度なども抜け目なく、目に耳に快楽をもたらしてくれるアニメ映画の金字塔である。
難しく考え過ぎずただただ浸ろう。

ちょうど時代的にパラレルな世界の日本で、今日も金田達は摩天楼の隙間をバイクで駆け抜けているはずだ。
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