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天使の涙のtaominicocoのレビュー・感想・評価

天使の涙(1995年製作の映画)
5.0
800レビュー目。

2020年は映画館応援も込めて、例年より劇場に足を運んでいる気がします。

この作品はかなり前にDVDで観ていましたが、近所の名画座でかかっていたので再鑑賞。

金城武が出演のウォン・カーウァイ監督作。やっぱり良かったです。

照明監督が『ロング・デイズ・ジャーニー  この夜の果て』や『鵞鳥湖の夜』などのウォン・チーミン氏とのことで、この辺りの映像が好きな人へは、絶賛おすすめです。

ちなみに、わたしはどストライク。


でも正直、本作の初見時はあまり感じ入るところがなかったのですが、時を経て再鑑賞すると感じ方が全く変わりますね……。

だから、映画は止められない。


とにかくね、金城武演じるモウの傍若無人なゆすり屋が酷すぎる 笑

たぶん、発達障害かなんかの設定なんだろうけど、笑っちゃうんですよ。

でも、モウの心の声(喋れない設定)が、やけに核心をつく、いい言葉で溢れてます。

自分を"店"に例えるセリフが胸を打つし、父さんの日常を録画した映像は味と愛情が溢れてる。

モウが父さんの笑顔のシーンを何度も何度も再生するところで、不覚にも泣いてしまった。

やってることは犯罪ギリギリでヤバい奴なのに、全然憎めなくて。
彼が幸せになればいいなぁと、祈ってました。……わたし、金城武のファンだからか。


本作は、殺し屋のカップル?と金城武親子にまつわる、若い5人の男女の群像劇です。ラスト、混じり合うことのない彼らの人生が不思議とシンクロします。

普通なら「いやいや、いくら何でも無理があるだろう」というエンディングですが、「これで良かったのかも」と思わせるところが、カーウァイ監督マジックなのかもしれません。

時間が経つほどに、ジワジワと心に侵蝕してくるような、魅惑的な作品です。
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