800レビュー目。
2020年は映画館応援も込めて、例年より劇場に足を運んでいる気がします。
この作品はかなり前にDVDで観ていましたが、近所の名画座でかかっていたので再鑑賞。
金城武が出演のウォン・カーウァイ監督作。やっぱり良かったです。
照明監督が『ロング・デイズ・ジャーニー この夜の果て』や『鵞鳥湖の夜』などのウォン・チーミン氏とのことで、この辺りの映像が好きな人へは、絶賛おすすめです。
ちなみに、わたしはどストライク。
でも正直、本作の初見時はあまり感じ入るところがなかったのですが、時を経て再鑑賞すると感じ方が全く変わりますね……。
だから、映画は止められない。
とにかくね、金城武演じるモウの傍若無人なゆすり屋が酷すぎる 笑
たぶん、発達障害かなんかの設定なんだろうけど、笑っちゃうんですよ。
でも、モウの心の声(喋れない設定)が、やけに核心をつく、いい言葉で溢れてます。
自分を"店"に例えるセリフが胸を打つし、父さんの日常を録画した映像は味と愛情が溢れてる。
モウが父さんの笑顔のシーンを何度も何度も再生するところで、不覚にも泣いてしまった。
やってることは犯罪ギリギリでヤバい奴なのに、全然憎めなくて。
彼が幸せになればいいなぁと、祈ってました。……わたし、金城武のファンだからか。
本作は、殺し屋のカップル?と金城武親子にまつわる、若い5人の男女の群像劇です。ラスト、混じり合うことのない彼らの人生が不思議とシンクロします。
普通なら「いやいや、いくら何でも無理があるだろう」というエンディングですが、「これで良かったのかも」と思わせるところが、カーウァイ監督マジックなのかもしれません。
時間が経つほどに、ジワジワと心に侵蝕してくるような、魅惑的な作品です。