しゃにむ

天使の涙のしゃにむのレビュー・感想・評価

天使の涙(1995年製作の映画)
4.3
「毎日大勢の人とすれ違う。その誰かともしかしたら親友に。だからすれ違わない」

ああん?最近堕落しねぇな(=゚ω゚)ノ

独り身が恋愛映画を観るなぞバイ菌の親玉たるバイキンマンが歯磨きをするような全米の涙を漏れなく誘う自殺行為ですが、独り身の繊細なガラスのハアトも打ち砕かない優しい最高の恋愛映画「恋する惑星」の監督の作品ゆえに無事生還しました‼︎ いいよコレ。

今作は元は「恋する惑星」の一部に含まれていて独立させて作られたとか。だから変人じみたキャラの言動や感想を伝える際に言葉に当てはめにくくてモヤモヤする感覚までそっくりです。恋する惑星に恋しちゃった人はこちらに来ても大丈夫だと思います(゚∀゚)

恋する惑星のレビューも苦労しましたが天使の涙も正直レビューしづらい。金城武が自由きままに変人をやるせいで今作にコメディ風な味わいも。変人金城武も言い表しにくい要因ですが、ウォン・カーウァイ監督独特の雰囲気の言葉との相性の悪さ。要は自分の目で確かめてくれと。合う人にはとことん合って合わない人にはとことん合いません。ぼくにはどんぴしゃでした。ウィスキーに浸したハンカチを鼻に当てがわれたようなくらくらする快感があります。一夜限りの刹那的な喜びや悲しみに身を任せたら…酔います。

あらすじ↓
深夜の香港。殺し屋、エージェント、肉屋、金髪…パートナーがいない若い男女が人恋しさに出会い、別れ、また出会う。


「まだパートナー?」
「組んで155週間。初めて一緒に座った」
→ 恋する惑星の「その時彼女との距離は0.1ミリ」には及ばずとも冒頭からハートをキャッチする台詞から始まります。暗闇の中漂う煙草の煙。別れ話の最中のカップルかと思ったら微妙に違う特殊な間柄の男女です。

「俺の仕事は指示に従うだけ。誰をどう消すかは相棒が決める。物臭な俺にはぴったりだ」

男は殺し屋です。なかなかイケメン。パートナーが必要だと考えています。相棒の女エージェントとはビジネスの関係です。2人の関係性に情は不要だと割り切っています。

「私の仕事は『友人』を偵察すること 」

女は男のエージェントです。美人美脚。殺し屋に仕事を持ってきてやります。

殺し屋が留守の時に部屋に入って丹念に掃除をしてやったり、ゴミ箱を漁って昨夜の男の行動パターンを研究したり、ベッドの上で男を思い浮かべながら官能的に身悶える…ふむふむ世話好きな彼女さんだなァ…羨ま死い…だけど面識はない…ハッ⁈((((;゚Д゚)))))))

ゆ、歪んだ…あ、愛情表現って人それぞれだからみんな違ってみんな良いです(白目)

女性が不器用とも言える不可思議とも言える積極的なアプローチをするとこは恋する惑星のヒロインもやってましたね。さすがにベッドの上でアンアンはしてないですが。ん?…ぼくのベッドが湿っているのはもしかしたら…ペロリ…ぼくの涙でした (世知辛い)

男は女を求める。仕事仲間として。
女は男を求める。恋の相手として。

よくある話です。ぼくも経験が(涙目)
深夜のチャイナタウンの底で誰かを求める人々の縁が暗い渦の中で絡み合う混沌を覗いているかのようです。しかし、陳腐ではない、リアル過ぎない、スタイリッシュなタッチで描き、ありふれた話も映画の中だけの非日常的な話のように映ります。素敵です。

と、これだけなら綺麗に終わります。が、金城武が稀代の変人を演じます(*´∀`*)

「僕はホー・チー・モウ 囚人番号223」

・囚人番号?
→この男…まさか脱獄したのかケーサツがモウの聞き込みをしているようです。脱獄したなら普通身を隠しますが、モウは逃げも隠れもせず、肉屋で陽気に豚に乗って肩ロースあたりをぺちぺちマッサージしてます。こんなに落ち着いた脱獄犯は初めて見ました。

・他人の褌で店に出る
→ 働き者のモウは自分の肉屋の店主の座に飽き足らず深夜に他の人の店のシャッターを開けて勝手に商売を始めちまいます。働き者もここまで来ると狂気を感じます(゚∀゚)

・究極の接客マニュアル
→ モウの店はいつも繁盛してます。それもそのはず客を拉致して連れてくるからです。店前を通りかかった人や近所の人をとっ捕まえて店に連行して金を搾りとります。深夜にアイスクリームを食わせられたらキツい…なぜかアイスを燃やすし。見習いたくない。

・金髪アレン
→ どうやら失恋した見ず知らずの女性に無関係なのに積極的に関わって行って恋敵の家に一緒に乗り込みます。恋敵が金髪だというので金髪を連れてきますが…それはいわゆるダッチワイフ…金髪だけどさ…錯乱状態の女性は悲しき空気人形を恋敵と認めてオラオラ殴り合いドアに挟み…恋は盲目ですねぇ。

・ビデオレター
→ 勤め先の焼き鳥屋の店主の影響でビデオレターにハマります。自撮りに飽き足らずハゲげちゃびんのとーちゃんに密着取材。台所でお料理中のとーちゃん、トイレに行くとーちゃん、ベッドに入るとーちゃん…きゃっ!おやぢの貞節が危ないぢゃ!おかしくなった可笑しいシーンですがあとあとホロリとくる展開が待っているとは…(;ω;)

・初恋の人
→ 初恋の人が店前で恋人と待ち合わせしているようでやらんでもいいのに張り切っちゃいます。気づかれないように独りでズドドドと戦争ごっこを始めて戦死。結局気づかれずじまいで本当に戦死しちゃいます。これはいわゆる阿保の悲しきさがであります(合掌)

うーむ…金城武のくだりを書いたらもはや何の映画なのかわからなくなりました笑 わけのわからんシーンはありますがそれ抜きにしてもハッと見とれる秀作です。恋する惑星にハマった方には是非オススメしたいです。

主人公いわくパートナーが必要だとか。ぼくにも必要です。ショートボブ、眼鏡、高学歴、文学通、映画通、優しい、小柄…おや…周りから人がいなくなりましたね。ふむ…金髪の子しかいないな。あ、あなたはアレン…かくなる上は人間をやめるぞ (゚o゚;;