yukihiro084

告発のときのyukihiro084のレビュー・感想・評価

告発のとき(2007年製作の映画)
4.5
早朝からこんだけ重い話のこの作品を
放送するWOWOWさんもどうかと思うけど、
ちょっとのつもりで観始めて結局、最後まで
観てしまう。もう2度ほど観てるのに。

目が離せなかった。傑作。

深い闇がある。そして深い闇には
先日観た(ウインド・リバー)のような
逆さまの星条旗が掲げられている。

イラク戦争。
話はその前の湾岸戦争にまで遡る。
さらにその前のイランイラク戦争まで。
イランに対して、アメリカや多くの国は
当時、イラクを支援していた。
イラクからしたら、
(お前らの代わりに、お前らを代表して、
戦争をしてやって、経済も、国も、人も、
ボロボロに傾いても、戦争をし続けて、
経済を立て直したいから、石油の相場の
相談をしてるのに誰も相手にしてくれず、
どさくさに紛れて隣国クウェートは国境沿いの
油田を採掘し始めて、地中で繋がっている
油田をバカバカ掘り始めて、
嘘だろ、冗談じゃねーよって話だったろう。

だけど世界は、イラクの窮状や言い分を
聞くことはない。その素ぶりさえ見せない。
だから、怒った。いい加減にしてくれと。

戦争に正しい側と正しくない側なんてない。

そんな戦争の尻拭いをさせられるのは
いつの時代も名もなき若者たちなんだ。

イラク戦争からアメリカに戻ってきたのに、
消息不明となった最愛の息子が
ある日、無残な姿で発見される。
なぜ息子は惨たらしい死に方をしたのか、
そもそも、イラクで何があったのか?

トミー・リー・ジョーンズが父親役を演じ、
シャーリーズ姐さんが普段のオーラを消して、
地元警察を演じている。
トミー・リーが、とにかくいい。
演技とは別に(セリフを言うこと)では
ないことが、よくわかる。

地味な作品だと思う。
セリフもそんなに多くはない。
人が感情的になって声を荒げることも
泣き叫ぶこともない。
爆破やカーチェイスや銃撃戦もない。
戦闘シーンすらない。
少しずつ真相が明らかにされてゆく。後半、
やり切れない気持ちでいっぱいになる。

もし子供に
(戦争はなぜやっちゃいけないの?)と
聞かれたら、こう答える。

『戦争に、終わりはないんだ。』って。
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