けーな

告発のときのけーなのレビュー・感想・評価

告発のとき(2007年製作の映画)
3.7
湾岸戦争から帰還して、行方不明になっている息子を探し、事件の真相を探る父親をトミー・リー・ジョーンズが見事に演じている。先日、「スペース・カウボーイ」を観て、トミー・リー・ジョーンズが渋カッコいいなと思ったが、今作でも、いい役者さんだなと改めて思った。宇宙人を演じているだけの人ではない。

監督は、「クラッシュ」で、アカデミー作品賞を受賞したポール・ハギス。その前年には『ミリオンダラー・ベイビー』で脚本賞を受賞しており、今作でも、もちろん、脚本を書いている。

またしても、邦題がよろしくない。裁判物ではないし。原題は、「In the Valley of Elah」。この映画の中で、この「エラの谷」は、重要な役割りを果たしているというのに。映画の中で説明があるが、「エラの谷」とは、旧約聖書で、ダビデとゴリアテが戦った谷のこと。幼いダビデが、たった5つの石だけで、巨人ゴリアテと戦った場所のことで、映画内で、シャーリーズ・セロン演じる女刑事の子供が寝る前に、トミー・リー・ジョーンズ演じるハンクが、話して聞かせるシーンがある。「ダビデは、恐れに打ち克って、戦いに行った」というセリフは、息子のマイクがイラクへ戦いに行ったことを思いながら語っているに違いないし、映画のラストで、女刑事の子供が、「王様は、なぜ戦いを許したの?まだ子供なのに。怖がっていたと思う?」と聞くセリフは、マイクのことを暗喩していて、胸に突き刺さった。さすが、アカデミー脚本賞を受賞したことのある脚本家だと感心する。そんな大事なタイトルを、安易な邦題に変えてしまって、非常に残念だ。

途中、ちょっとだけ登場する軍曹役のジェームズ・フランコが、いつになくカッコ良かった。髪が短いのが、意外と似合っていた。
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