Chippy

告発のときのChippyのネタバレレビュー・内容・結末

告発のとき(2007年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

本当の話だそうです。元軍人の父親は、同じく軍隊に入った息子を誇りに思っている。イラクに派遣されていた息子は無事帰国する。しかし、その息子が行方不明になったとの連絡がくる。そして数日後、40箇所以上刺され、切断され、焼かれるといった、おぞましい死体となって発見される。

ドラッグ絡みの揉め事に巻き込まれたのでは、という見解にどうしても納得がいかず、自ら調査を始める父親。

そんな中、疑念の目を向けられた、イラクで息子と
同じ部隊に所属していた仲間の一人が自殺する。
彼のポケットからは、父親が息子に渡した時計が見つかる。これは何かの暗示か?それを受けて、別の仲間の一人が自分が自白する。自分が息子をを殺したと。

なぜ...。「自分があのとき刺していなかったら、
きっといつか、あいつが自分を刺していた」という答え。憎み合っていたわけじゃない。イラクでそれだけ皆の精神が破壊されたという事実。

イラクは地獄だった。アメリカ人は憎悪の対象でしかなかった。自分だっていつ殺されてもおかしくない。動くものは全て撃つ。罪の無い幼い子供を殺してしまったという現実。誰も彼を責めるわけじゃない。息子は自分で自分を責め、彼の精神はどんどん破壊されていった。

そして息子はイラク人捕虜を虐待していた。そうすることでしかおかしくなりそうな自分を保つことができなかった。

父親はイラクにいる息子から、電話を受けていた。「つらいんだ、僕をここから連れ出してくれ」と。そんな息子に彼は優しい言葉をかけることができなかった。「何を言っているんだ。弱音を吐くんじゃない」と。

彼なりの愛情の言葉だった。でも彼は思っている。あの時もっと違う言葉をかけてやれば、何かが違ったのではないか、と。

彼は一生、あの時の自分の言葉を後悔して、罪悪感を背負って生きていくんでしょうね。イラクではきっと、想像を遥かに超える悲惨なことが起こっているんだと思います。

本当に悲しい映画だと思います。最後の方はもう悲しくて悲しくて涙が止まりませんでした。

皆さまもぜひ。
Chippy

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