あじぽん

破戒のあじぽんのネタバレレビュー・内容・結末

破戒(1962年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます


昔から部落差別に興味があって、島崎藤村の破戒と出会った。
何度か本作を読んだ後、今回映画も見たが丑松の悲しみが実によく反映されていたと思う。

自分が部落だから。素性を明かせない、自由に生きている心地がしない。自分を隠し通していつも何かを気にしながら生きなければならない。
丑松(市川雷蔵)がほとんど笑顔を見せず、暗い表情ばかりなのが印象的だった。

大ファンである猪子先生に知らないフリをしなければならないシーンは何よりも悲しかった。
でも、最後の猪子夫人の言葉が深かった。いつかこの部落が問題とならない時が来ると。今でも完全に無くなった訳ではないけど、この時に比べればだいぶ変わった気もしている。

そして生徒も銀之助もお志保も丑松と別れを言いにきた。部落とは関係なく、みんな丑松という人柄に惹かれて。部落という身分を毛嫌いする人も多いけど、自分を好いている人がいると分かった丑松には希望の光だったんじゃないかと思った。

余談だが、三國連太郎のカッコよさが半端ではなかった。
あじぽん

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