いずぼぺ

ラストキング・オブ・スコットランドのいずぼぺのレビュー・感想・評価

3.6
英国植民地を脱し、ウガンダ共和国として独立を果たしたあとも国内で騒乱が続き混乱を極めた時代のアミン大統領。彼をフォレストウィテカーが怪演。
この作品のどこからどこまでが史実かはわからないが、混乱した社会で群衆をコントロールする一番手っ取り早い方法は恐怖と絶望であることが描かれている。
しかし、次の局面へと打破する力が希望であることも間違いない。
本作の狙いがアミン大統領の人柄を描くことなのか、ウガンダの人々の苦難の日々を描くことなのかは捉えにくい。
しかしウガンダ人同士の内乱とかつての宗主国イギリス内部の軋轢(🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿vs🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿)を重ねることによって争いの無益さは伝わる。
途中、ウガンダからのアジア人排斥の部分があったが私達の思うアジア人ではなく主にインド系の方を指していたようだ。まさにウガンダの歴史であってイギリスの歴史の澱だ。
近代史は一国だけの歴史を学んでも全容がつかめない。複雑に絡み合った織物のようだ。語られている歴史だけではなく、語られなかった歴史にも耳を傾けなければ得ることのできない視点があるだろう。
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