このレビューはネタバレを含みます
アミン大統領の主治医になる男の話。
ひょんな事からアミンに気に入られ、彼の主治医になる主人公。
しかし、ウガンダの情勢悪化に伴い、自身の立場も危うくなっていくと。
確かに、帰国を許されず、愛する女性を殺されてしまう主人公は気の毒に思うのですが、その一方で自業自得だな~と思う部分もあって。
医者の本分を忘れて、権力者に接近する事に夢中になったり、多妻の1人とはいえ、アミンの妻に手を出した事は擁護出来る事ではありません。
主人公は家父長的な父親に反発し、ウガンダまで来たわけですが、結局またアミンという新たな家父長に囚われてしまうという皮肉。
そもそも、人妻に強引にキスしたり、牛を銃殺したりと、彼自身もまたマチズモ気質な人間であり、だからこそ、アミンと惹かれ合うものがあったのでしょう。
一方、アミンに関しては、全体的にディティール不足な印象を受けました。
フォレスト・ウィテカーの演技自体は素晴らしいのですが、彼が行った虐殺についての話がほとんどないし、暴力描写もほとんど映されない。
午後ロー編集で見たので、もしかしたらカットされてるのかもしれませんが、“人食い大統領”と呼ばれる程の暴君には見えなかったです。
実話風の作りですが、主人公は架空の人物という事で、おそらくは主人公を通して、アミンという人間の知られざる一面を描く事が狙いだったのでしょう。
そうなると、ある程度はアミンについて知っている事が前提で作られた作品なのかなと。
アミンについて何も知らないという人は、少し予習してから見た方が楽しめるかもしれません。