じゅんP

ラストキング・オブ・スコットランドのじゅんPのレビュー・感想・評価

3.8
アフリカで最も血にまみれた独裁者と呼ばれたイディ・アミンの実像に迫るストーリー。

スコットランド人のニコラスは、医師である父の意向に沿い医大を卒業するも、敷かれたレールに嫌気がさし、適当に地球儀を回して決めたウガンダに医師として赴任する。
偶然、大統領アミンの手当てをしてめちゃくちゃ気に入られたニコラスは、専属の主治医として登用されるが…。

何を措いても言及せざるを得ないメイン2人の演技合戦。
軽薄で怖いもの知らず、なまじ頭はいいから機転は利くけどすぐ調子こくジェームズ・マカヴォイ。
この人物が人々を魅了するのはわかる、と同時に怖さと弱さをたたえていて、それらに支配されている時は何をしだすか、何を言いだすかわからないという深い闇を抱えたフォレスト・ウィテカー。
2人の不安定な関係性に、最後の最後までハラハラさせられる。

ニコラスがとんとん拍子でアミンの信頼を得ていく過程は「そんなうまくいくか?」って見える分、いつ崩れてしまうんだろ…って脆さがずっとつきまとうし、通底する酒だ女だって軽いノリも、そのノリを助長する音楽やカメラワークも、やっぱり終わりを予感させていて、とにかくずっと不安。

社会派の映画観る覚悟で構えて観始めたんですが、題材の割にかなり娯楽作寄り。特に終盤は痛みで彩られたジェットコースタームービーと化していきます。

そもそもニコラスは架空のキャラクターだし、アミンの人物像についても噂レベルのエピソードや脚色も交えて補完してるっぽいのですが、それら全てがどう転ぶのかわからないもどかしさに寄与していて、しっかり振り回されました。
じゅんP

じゅんP