つかれぐま

エターナル・サンシャインのつかれぐまのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
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ポスターの印象とはだいぶ違う。良い意味で。

複雑で、シニカルで、その奥の深~い底にある微かなロマンを、観る者が能動的に見つけ出す。そんな構造の凄い脚本。

共感できなかったり、倫理的にアウトな人も出てくる話だが、それでもどのキャラクターも愛おしく思えるは、みんな自分なりに懸命だからかな。

★現実の主人公カップル
★施術するラクーナ医院の人々
★主人公の記憶(現在→過去)
この3つの軸を交互に、そして時系列も組み替えて見せることで、現実と記憶の境界線がないまぜになっていく不思議な感覚を味わえる。複雑だが、この構造を見破るヒントを適所に置いて、パズルを脳内で組み立てるような楽しさがあった。

そのパズルが完成すると同時に訪れる、主人公カップルが決断する時。このシンクロ感と、エスプレッソのようなビターでも、ミルクのようなハッピーでもない、カフェラテのような味わいのエンディング。

あるユーザー様@相互フォロー中のレビューが素晴らしく、その中の名言を忘れないように引用メモさせて頂く↓。

「恋愛の記憶は、恋愛そのものよりも貴重」
作品の本質を一言で表す、私が思う映画レビューの理想形。