Dachiko

エターナル・サンシャインのDachikoのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
4.1
もし、かつて愛した人間との思い出を消すことができたら、自分は消すだろうか。

愛する人が自分の元からいなくなってしまった時、起こす行動は人それぞれ。人の本性が出るタイミングは様々だけど、このシチュエーションもその1つに入るのではないだろうか。
失わまいと奔走して空回りしたり、相手を傷つけてしまったり、自己嫌悪に苛まれたり、または諦めて何日も泣き通したり、何かに誰かにやつ当たってしまったり、他の異性に一時の安らぎを求めたり。

やっぱり、臭い歌の歌詞じゃないけれど、数えきれない数の人間がいる中で、天文学レベルの可能性の中で出会えて、また更に天文学レベルの可能性の中で親密になれた人に固執してしまうのはしょうがないことだと思う。
愛の名の下にはどんな善も悪も良識も理性も概念も無力なんだろうな。結局そこには自分と相手しかいなくて、その2人次第でどこまでもゆけるし、どこまでも落ち得るのだろう。だからこそ、2人が相思相愛でいる間は何もかもが愛しいし、関係が悪化してしまえば何もかもが憎く感じてしまう。

ジョアンは元恋人のクレメンタインが自分の記憶を消してしまったことを知ったのをきっかけに、自分も記憶を消そうとする。憎さ故に。けど失いかけてから、その記憶の大切さに気付く。
記憶まで失ってしまったら、本当の意味でその人を失ってしまうから。同じ人を2度失う事になってしまうから。そして、結局その人を忘れても、再会すればまた同じように恋に落ちてしまう事が心の底では分かっているから。

だからその記憶だけは大切にしておくべきだと思う。「忘却はより良き前進を生む」「忘却とは許す事だ」というセリフがあったが、忘却無しに前進できる事 が最善だと思うのだ。こんな事もあったなあ、と笑って、少し懐かしんで振りかえれる方がよっぽどいいと思うのだ。

ただ、結局、愛する人の大切さも、その人との思い出も、失ってからまたは失いかけてからしか、真には理解できないのだろうか。

んーあまりまとまりのないレビューになってしまった。。やっぱり恋愛映画は難しい。。本当に恋愛はその2人次第だと思うから、所詮他人は意見することは出来ない。

ただ1つ言えることは、この映画の原題である、『eternal sunshine of the spotless mind(曇りなき心に差し込む永遠の太陽の輝き』のような人間と大切な関係になれる事は、本当に素晴らしい事なのだと思う。例えそれがバッドエンドで終わる事になるとしても。

「人は残りの人生を決定づける人と結びつく事はできる。けどその結びつきは永遠には続かない。その事は物凄く美しくて、切なくて、驚くべき事だと僕は気付いたんだ」デミアン・チャゼル(LALALANDの監督)

だから決してそんな人との良い思い出を忘れてはいけない。
たまには思い出して、笑ってみる事が1番いいんだ。