Shelby

エターナル・サンシャインのShelbyのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
3.8
青や赤、緑等々の奇抜な髪色を好む活発で衝動的な美しい女、クレメンタイン。一方、ジョエルは毎日が退屈でつまらない人生だと嘆く男。
凸凹な彼等は恋人同士だ。
バレンタインデー直前、喧嘩していた彼女と仲直りをしようとネックレスのプレゼントを持って彼女の職場に訪れるジョエル。彼女は何食わぬ顔でジョエルの目の前で他の男とキスをする。しかもその男をベイビーと呼ぶ始末。まるで初めて会うかのように接するクレメンタインにどういうことだ?と困惑する。失意の中、不意なきっかけで知ったのは〝クレメンタインはジョエルに関する記憶を全て抹消する手術を受けたということ〟
それを知り彼女に対して当てつけのように自分も手術を受けると申し出るのだが...

忘れたい人の記憶を消すことが出来る手術。誰にでも忘れたい過去、消し去りたい人との思い出はあると思う。そんな誰もが1度は思い描いた欲望を実現したら、というファンタジー要素のあるラブストーリーに仕上がっていた。
ジョエル演じるジム・キャリーはどうしてもコメディ色の強い印象しかないのだが、今作ではしっかりと恋を引きずる弱々しい男を演じきっていたのが意外でしかない。
そしてクレメンタインの髪色が時期に応じて色を変えていくのもまた見所。
彼女に関する記憶が消されていく部分は、巨大シンクの中を泳いだり、クレメンタインが家政婦になったりと記憶の中だからこそ出来る面白い演出もセンスを感じる。

時系列にバラツキがあり最初はついて行くのに若干苦労したが、何より互いに記憶が消されていたとしても出会ってしまうふたりにじんわりと胸が熱くなる。互いに記憶を消したことを認知しても、やり直す決意をしたあの結末がふたりにとって、本当に幸せなのかは別にして。
見終わった後に、今のパートナーを大事にしたいと自然と思わせてくれる良作だった。
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