ハイディ

エターナル・サンシャインのハイディのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
4.5
人は誰しも、大切だと思っていた人と別れる時が来ます。それは親だったり、親友だったり、最愛の人だったり。別れ方も人それぞれ。永遠の別れ、仲違い、失恋の別れ。

大好きだったからこそ、愛していたからこそ、辛いから忘れたい。そんなココロが張り裂けそうな、辛い経験はありませんか?ワタシにはあります。本当に好きだった。でも、離れなきゃならなかった。

ふとした時に思い出す、あの苦々しくも切ない瞬間。それはその人と一緒に通った道。あの時嗅いだ匂い。一緒に舌鼓を打ったあの味。あの時一緒に過ごした風景や会話。

辛いのなら忘れさせてあげますよ?って会社があるなら忘れさせてくれ!と思う事もありました。

でも、本当に忘れていいのでしょうか・・・?
本当に忘れたらあの時に感じた気持ちや笑顔、大切な事なども全て消えてしまいませんか?

そんな映画です。
前置きが長くて申し訳ないが、本当良かった。元々ジム・キャリーが好きなワタクシでしたが、余計に役者として尊敬できた。

この作品で彼の自慢の顔芸は一切出てこない。前に「トゥルーマン・ショー」という作品があったが、更に抑えた演技が印象的でした。コメディアンとしてのジムを求めている方は、完璧にオススメできないのでご注意を。

また、相手役のケイト・ウィンスレットもタイタニックの時のようなご令嬢ではなく、気分でコロコロ髪の色を染めるどことなく野良猫感が漂うヒロインを好演してます。この人、タイタニックの時よりもだいぶ痩せたよ!w

この映画、実に淡々と進行していきます。
ネタバレになるので多くは語りませんが、見終わった後は物凄い切なさ…というか、何か胸にしこりが残ります。いや、悪い意味じゃなくてね。

思えば、この作品のテーマである「別れた、失った大切な人の記憶を消去する」というのは失恋などを経験した方は誰もが1度は思うことじゃないだろうか?見終わった後のこの切なさはそういう思い出がフィードバックするからじゃないだろうか?そういう風に思います。

あのときの彼女は、今幸せに暮らしているでしょうか…?幸せに暮らしていることを願わずにはいれません。

この作品は6人のそれぞれの恋愛感や恋愛模様が、スタイリッシュに描かれている名作だと思います。
またサントラもいいんですよ、本当!
車内やラストに掛かるBeckの『Everybody's Gotta Learn Sometimes』が、深い余韻を残します。

雪で一面埋め尽くされた冬の海など、それだけで切なくなるような映像が各所に散りばめられていますし、深層心理で消えていく記憶が、消灯という方法で表現されているのもものすごく分かりやすい。アクションのまったくないインセプションですw

たまには、お酒を片手に、過ぎ去った時間の中の大切な人を思い出すのもいいんじゃないでしょうか・・・?
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