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エターナル・サンシャインのNUZOOのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
4.3
なるほどね…
ここ数ヶ月で俺に勧めてくれた何人かありがとう…

年に1〜2回くらい漫画を描いてるけど、今度自分が描きたいと思ってた感じの作品の成功例に見えた。
ストーリーの筋立てが適度に凝ってて面白く、映像のトリックやリアリティラインのジャンプがあって、時折(ちょうど見やすい程度に)ファジーで、なおかつ喪失のエモーションが全体に響いてるという、押さえるところをちゃんと押さえた作り。


そんで予想してた通り、今の自分にかなりこたえる話だったっていうワケ…。記憶の中では優しくて輝いてる彼女はあくまで自分の記憶の反復であって、現実には自分はほとんど彼女に忘れられてる存在である、っていう主人公の境遇なんて、まんま最近のアタイじゃん……とか思ったりして。(心の中のはすっぱギャルに喋らせて恥を分散させているところなんで黙っててください)

最初のシーンの意味を確信するにつれて断続的に襲ってくる謎の切なさがこの映画の一番素晴らしいところで、「もしかしたら誰かと自分の出会いも2回目だったりして…」みたいなことを考えはじめたり、もう一度記憶を消して出会えたら…とかいってるともう一度アタイが出てきちゃうのでやめますが……人生を2回目以降として生きる、っていう感覚は『恋はデジャヴ』とかでも扱ってたテーマではあるものの、タイムスリップやループじゃない方法でそれを見せているのが新鮮だった。

幸福感と喪失感をこんな感じで理性的に物語に落とし込めるのはほんと至難の技だなと感心しきりで、ミニマルなSF映画の正解の1つがこういう形なんだろうなと感じた。
あとはベックによるカバーが素晴らしい。
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