うめまつ

タレンタイム〜優しい歌のうめまつのレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
4.8
月の光のように生きる人たち。太陽よりもずっと優しく控えめで、自分をすり減らしながら誰かの暗い夜道を照らすような、振り返ったらいつも見ていてくれるような、心配して真昼にも薄っすら出てきちゃうような、何処か寂しそうに微笑む人たちの物語。

マ、マヘシュ。。マヘシュ?マーヘーシューーー!!って心の中で30回はその名を呼んだ。口に出しても聴こえないその魅力的な名前を声が枯れるまで呼びたい気分。なんなのあの表情のみで奏でられる切なさの抒情詩は。。彼の顔をずーっと飽きずに見ていられる。ヘルメットの距離近すぎ問題の時、こっそり天ないを思い出してドキドキが倍増した。(←お前の他に行くとこなんてねぇよby晃のとこです!) あれをチェキ会ならぬヘルメット会として開催して欲しい。クッション半分こ会も良いな。。勿論この想いは正真正銘の恋である。

出ている人がみんな味のある良い顔をしてて、全員をもれなく好きになってしまう所謂〝カウリスマキ現象″が起きてしまい、誰にでも自由自在に肩入れできる。今なら誰の心の声も代弁できそう。どうしてあんなに繊細で瑞々しい水彩画のような心模様を、ユーモアさえ添えて鮮明に描き出せるの。素朴で公平であたたかくて隅々までみっちり真心が通ってる。この作品が一枚の絵になったらよく風の通る窓際に飾りたいな。

そもそも「タレンタイム」の意味を全然理解してなかったけどかなりストレートな音楽映画だった。嬉しい誤算。そして出てくる歌が全部良い。映画の救世主ドビュッシーにも負けてないし、特に真っ直ぐなハフィズの歌声には逐一胸を打たれてしまった。病室でのお母さんとのやりとりも。。あんな面食らうほど直球の親子愛を描いてクサくならないのはもはや魔法だな。そして満を持しての、二胡の彼のスマート過ぎる殻の破り方は泣けるし微笑ましいしなんだよもう。。最高かよ!ってなって気づけばボロボロに泣いてた。何処を抽出しても主成分が愛の映画だった。本当は言いたい事はそれだけなのに、やっぱり言葉はお喋り過ぎるな。
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