タレンタイム〜優しい歌の作品情報・感想・評価

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「タレンタイム〜優しい歌」に投稿された感想・評価

菩薩

菩薩の感想・評価

5.0
2019.7.22 追記

無事2度目の鑑賞を終えたので最高点まで押し上げる。タレンタイムはヤスミン・アフマドにとっての「月」であり、彼女がそれ以前に生み出した5本の長編が少しづつだが手を取り合い、囲み、照らしているのだと言うことがよく分かった。ここに彼女の全てが詰まっている。彼女は神から授けられた使命を全て果たして、そうして(早過ぎるが)神に迎え入れたのだと思う。後はこの作品を受け取った自分達がどうその意思を継承していくかだ。宝以外の何物でも無い、彼女の存在と彼女が残した物たちは。



はっきり言って感動ポルノのような作品だと思う、ネタバレになるから書くまいが、なかなかの泣ける要素総動員で。本来ならばそんな作品は大嫌いだし「けっ…」と遠ざけてしまいがちなのだが…何故だろう…何故だか勝手に泣いていた…どころで無く鼻水まで出てた…。ストーリー的に凄い面白いというわけでも無い、オーキッドの様に魅力的なキャラが出てくるわけでも無い、なのに何故だか大号泣、ちと自分でも不思議な経験をした気がする。けどきっとこれは、自分が知っているけど抑え込んでいるあの感情で、懐かしさと温かさとそして優しさと、そんなものに押し出さて流れて来たものではないかと思う。言葉よりも想いが大事だって、こういざ好きな人を目の前にすると何も話せなくなるけど、でもまぁ話さなくても「好き」だって事は伝わってる気がするし、相手の気持ちもなんとなくだけど伝わってくるような気がして、結局はそんな空間がとても幸せな様な気がして、こんなのがずっと続けばいいのになぁなんて思ったりする。人間てのは人生にこなれてくるとやれ「恋とはなんだ…」とか「愛とはなんだ…」とか「付き合うってなんやねん…」とか思いがちだけど、最初はみんなそんなのは知らずに始まって、好きだから一緒にいて、まぁ結局そんなのは終わったりするんだけど、いつまでも忘れられない物として残っていったりする。知らぬからこそ打算も無く動けるし、思いの丈を伝えられるけど、知ってしまうとそうもいかない、動けないし伝えられない、でも幸せってのは本来なにも考えないうちに動いて、気づいたら手に入れてるものなんだと思う、と当たり前の事をつらつらと書きましたが、要するにこの作品はそんな「当たり前」の事を普通に描いてる作品で、だから自分も当たり前の様に感動して、当たり前の様に泣けたのかなって思う、そんな事実がなんだかちと嬉しい。これはきっと空族における『バンコクナイツ』の様な作品だから今はこの評価だけど、きっと彼女の作品を観通した後は、満月のように輝く作品になっている気がする、今はとりあえず14番目の月という事で。もちろん単体としてもこの瑞々しさはなかなかエグい、いい作品だと思う。にしてもつくづく和解のシーンに弱い…。
2021年2月17日に鑑賞していたけどまだフィルマ知らなかったので記録として。

2回目だったけど同じシーン、同じ歌で涙が止まらない。

いつも行くカフェではこのCDをずっと流してくれます。
そんな映画。

ヤスミン監督ありがとう。貴女の作品に出会えて良かった。
HO

HOの感想・評価

5.0
ユジクのヤスミン・アフマド特集にて

大好き、この映画のことずっと忘れたくない。
「細い目」もそうだったけど、ヤスミン作品って誰かが誰かを愛するとき、それを行為で示すとき、その現れの解像度がものすごく高い。地に足がついていると言おうか血が通っていると言おうか、とにかく非常に精緻だ
特に、子供が繊細な依頼心を示したときに大人がそれをどのように受け止めるか、ここの表現がすごいと思った……夜中に叩き起こされて「これは恋?」と聞かれたときのお姉ちゃんが好き

あと、これはなんとなくなんだけど、カーホウが恋していたのはムルーではなくてハフィズだったのでは、と思う
カーホウの恋は、「お前が演奏する曲はあの子の名前と同じ意味だろ好きなのか」「そうだ誰にも言うなよ」という簡素なやりとりだけで明かされ終わるのだけど、彼が本番で演奏したのは「あの子」の曲ではなく、ずっと冷たくし攻撃して無視してきた「親友」の深い深い悲しみに寄り添うための旋律であったというの、多分ゲイロマンスの表現だったように思うんだよなあ
カーホウは演奏しながらずっとずっとハフィズの顔を見つめている
最後のあのシーンは本当に死ぬくらい泣いてしまう 死ぬくらい泣いてしまうよ
SatokoKUZU

SatokoKUZUの感想・評価

4.5
何度も観たくなる傑作。
優しさに包まれた映画。ヤスミン監督の作品をもっと観たかった。
仮設の映画館で鑑賞。
多民族社会、身近な人を優しい眼差しで見守り合う人たち。
人が人を想うことを、このような繊細な質の感触で描いた映画は、他にすぐ思い浮かばないほど。
表現には独特のこだわりがある。
空間の空気を写し取るように実景(主に校舎の佇まい)が挿入される。(小津の父ありきなどを思わせる)
バッハやドビュッシーのビアノ曲が繰り返し人々の表情にかぶる。歌が主役の映画とも言えるが、世界を繊細に表現する音楽の力への信頼を静謐なピアノ曲が伝えているようでもある。
umeko

umekoの感想・評価

-
〝愛は月よりも古い〟


この予告を観た時間帯も風の空気も覚えているのに映画名だけが思い出せなくて、あれはきっと夢だったんだ…と残念に思っていたのだけど、この映画だったんだと約2年越しに晴れ晴れした気持ち。

彼女の作品に出会えて、わたしはうれしいです。
HNT

HNTの感想・評価

4.7
人間の美しいところと人生の素晴らしい瞬間を凝縮したみたいな映画。
人間を見つめるヤスミン・アフマド監督の視線がなんと優しいことか!
『細い目』同様、登場人物の描き方が多面的で、エンディングにもあった通り「偏見にしばられた世は/ぼくの永遠の敵」
何回も何回も見直したい…けど現状鑑賞機会が限られているのが残念で仕方ない
#2020年81本目
初アップリンク京都。最終日に仕事を半日休み滑りこみ観賞。楽器を引く手元が気になってしまったりはしたが、ボロボロ泣いた。機会があればまた観たい。
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