Takumi

酔いどれ天使のTakumiのネタバレレビュー・内容・結末

酔いどれ天使(1948年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 若いヤクザの松永は、貧乏医師の真田から、自身が結核に冒されていることを知らされる。
 必死に治療しようとする真田に素直になれず、病状が悪化する松永だったが、やがて真田の優しさに心を打たれ、治療を決意する。
 しかし、出獄した兄貴分の岡田との縄張りや情婦の確執の末、松永は権力を失ってしまう。追い詰められた松永は岡田に決闘を挑むも、返り討ちに遭って死んでしまう。
 真田は、松永を死に追いやったヤクザの世界に怒りをぶつけ、悲しみに暮れる。結核を克服した元患者に再会した真田は、希望を胸に闇市の中へ消えていく。

 巨匠・黒澤明と三船敏郎の初タッグ作品。戦後の混乱の中で生きる人間の愚かさ、醜さ、優しさを描いた人間ドラマ。本編98分と、黒澤映画の割にそんなに長くないが、ドラマが濃密。無愛想で素直になれない松永と真田の友情の変化に熱くなる。

 必見なのは、松永が真田の治療を受ける決意をするシーン。松永の心の変化が「視覚的」に表現されている。どんなシーンかは見てのお楽しみ。現代では見られない、三船ならではの「静かな衝撃」。

 そして何より三船がカッコいい。「羅生門」「七人の侍」の影響で「三船=サムライ」のイメージがあるが、背広に拳銃の三船も最高。
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