ジャイロ

酔いどれ天使のジャイロのレビュー・感想・評価

酔いどれ天使(1948年製作の映画)
3.7
三船三船と…

三船敏郎はどこだ?

日本にだって天使はいます。和製です。エンジェルジャパンです。ただ、この天使は口が悪くて無精髭、おまけに常に酔っぱらっています。またキツイの飲んでるなぁ。死ぬんじゃないのこれ?(笑)

この天使、時々聞き取れない台詞もありましたが、そこはそれ、黒澤監督の作品は耳だけで聞くのではない。心で聴くのです。
don't think!feel!


酒を奢ると連れていっては殴りかかり

おめえの顔を見に来たと言っては殴りかかり

いったい何しに来たんだこのヤクザ者は(笑)


三船敏郎だった

最初から出てた

全然気付かなかった


ヤクザを否定する映画を作るハズだった黒澤監督。人情味溢れる濃いキャラクターの主役、その主役を食ってしまうほどの三船敏郎の強烈な個性に、その思惑はハズれてしまったと言います。なるほど。確かにその存在感はすごい。

しかし、憐れよのう…

爪弾くギター音色がもの悲しい

どぶの沼地のほとりには

やがて人殺しの唄が鳴り響く

げに恐ろしきはお別れのキス

あんな恐ろしいキスはなかなかない

((((;゜Д゜)))

どぶの水っ溜まりに淀んでいたのは、腐った人間の性根でした。

後ろめたい世界に生きる人間と、お天道様の下でまっとうに生きる理性の人々。三船敏郎のインパクトを乗り越えて、その対比にヤクザ否定を確かに感じましたよ黒澤監督。